コラムあるいは雑文

プール帰りの女の子たち    - 04/11/13 -

このコーナーは、もともと「週一回くらいのペースで更新しよう」と思って始めたのですが、思い付いたネタを「あまり長い間あたためてしまうと醗酵してしまいそう(笑)」なので、出し惜しみせずに更新してきました。(時間を置き過ぎると、考えが変わったり考え過ぎてわけ解らなくなったりするのです)
ネタのストックも残り少なくなってきたので(笑)、そろそろペースダウンしようかなどと思いつつ、やはり、醗酵しないうちに書いてしまおうと思い直し更新します。

「真夏の一ページ」の79ページで、「プール帰りの女の子たち」のエピソードがあります。OK大作戦の決行日、祐巳が自宅からバスで学校へ行くときの出来事です。
とても印象的ですてきなエピソードなので、私のお気に入りエピソードのひとつですが、同時に違和感も感じます。唐突な感じがするのです。
このシーンは、何かを暗示しているのでしょうか?
「略してOK大作戦(仮)」のストーリーの中に、このエピソードが存在する意味を読み解こうといろいろ考えたのですが、結局、私には解りませんでした。
82ページで確かに「(祥子さまに)先ほどの少女の姿が少しだぶって見えた」とあるんですが、「それが何?」という感じです(私の感性が足りないのだろうか)。
最近では、実はこれは「作者の実体験で、どこかで使おうと狙っていたのでは」などという想像までしています。
でも、このエピソードの前と後では「祐巳の心理状態」がかなり変化しているんですよね。
それまで作戦に前向きだったはずの祐巳が、このエピソードの後では「何となく後ろ向き」になっていて、祥子さまに会ってからは「祥子さまを騙す」ことへの後ろめたさから一歩も歩けないほどの心理状態にまでなってしまいます。
となると、やはり「祐巳の心理状態の変化のきっかけ」としてあのエピソードは必要なのだろうか。でも、なにがどうきっかけになるのか、解りません。
というわけで、結論は出ていません。

余談ですが、このエピソードで使われている「途中下車」という言葉は使い方が間違ってますよね。(「途中下車」とは、本来の目的地より手前で下車することです)
2004/11/13 12:05:00〔投稿者:くりくりまろん〕
(こちらでは)はじめまして。よろしくお願い致します。休日の土曜の朝にマリみてについて考えるというのは爽やかなものですね。//これは「昔の自分もそこにいるよう」な題材であることから、どちらかというと解釈というよりは、読んでいるそれぞれが自由に連想を働かせることで物語の幅がでてくるように描かれたシーンではないかと思います。//ただ敢えて言うならば、祐巳が現在生きている現実の世界は、リリアンや花寺の人たちで賑やかな生き生きした世界です。そこから離れ、少し退行することで祥子の心に最も寄り添う、といった終盤での祐巳の姿につながっていったのではと考えます。デリケートな問題なので皆でワイワイとやっているところでは見過ごしてしまう点があるのではないだろうか、と思われるところです。//「作戦」というのは祥子のためを思って皆が動くという罪の無いものなのです。しかしそれでも、曝露的で乱暴なものではないかという疑問を祐巳は感じていったのではと思います。祥子は強い人なので少々のことでは傷付かないかも知れません。しかし、幼子に対するような気持ちで祥子の男嫌いという問題は大切に扱わねばならないとも言えます。祐巳の迷いというのは優しさの表れなのでしょう。そのような意味で心理状態の変化のきっかけとして捉えられると思います。//特に報われることはなくとも、義務感やら責任感やらで必要なことを一人で頑張るというのは、祥子の姿に良く重なります。そしておそらく、祥子のそのような性質は随分昔からのものなのでしょう。さらに深読みすれば、緊張を解くことができないという姿勢は男嫌いの症状にも少し関係があるようにも思われます。より幅のある祥子に対する祐巳の理解が、プール帰りの女の子の姿に仮託してなされていったのではないでしょうか。
2004/11/13 13:31:29〔投稿者:バルミラ〕
難しいですね。感覚的にはつかめるけど、口では説明しにくいというか。ただ、この前後だけ見てるとかえって解からなくなるような気がします。ここまで(あるいはこれ以後)の祐巳と祥子の関係を含めて考えた方がいいかもしれません。例えば『ウァレンティーヌスの贈り物(後編)』89ページ、「それにしても祥子さまって、幼稚舎の頃から戦っていたんだ。(中略)自分はただ、のほほんと暮らしていやしなかっただろうか。(後略)」の部分。祐巳はこういった記憶から、「自分=居眠りをしている子(の一人)」「祥子=睡魔と戦っていた子」と(あるいは無意識に)連想したのではないでしょうか。
2004/11/13 16:42:03〔投稿者:kuro〕
えーっと、まず例の女の子はグループの中でどんな風に見えるでしょうか?。一番しっかりしていて、優しくて、一番「お姉さん」に見えますよね。一応p82以降になりますが、祥子は祐巳のためにタオルをかけてくれます。この行為はさっきの女の子の献身的な姿と更に重なってこないでしょうか?。祐巳にしてみれば、まさか妹がとんでもないはかりごとを企てているともつゆ知らず、自分の為に献身的に世話を焼いてくれる優しいお姉さま・・・・一歩も動けなくなる訳です。
2004/11/14 02:48:58〔投稿者:管理人〕
みなさま、コメントありがとうございます。くりくりまろんさま、ようこそいらっしゃいました。
いろいろな見方があるようですね。とても参考になりました。みなさまのご意見では「祐巳が女の子に祥子さまを重ねて見ていた」ということが共通しているようですね。
2004/11/14 04:01:22〔投稿者:いわし〕
作者の実体験を載せようと狙ってたと言うのだったら「真夏の1ページ」というのは最高のタイミングですよね。真夏のバスというのがイメージできて素敵なエピソードだと思います。祐巳の心境の変化ですが単純に状況の変化によるものとも取れます。「祥子さまに実際に会ったら急にいたたまれなくなって嘘がつけなくなっちゃった」と…。