コラムあるいは雑文

私は女優    - 04/12/19 -

前回のコラム(由乃さんの妹)で、「瞳子ちゃんと由乃さんの性格は似ているか」ということに触れたので、補足することにします。
薔薇の館で一緒にいれば、瞳子ちゃんと由乃さんは「もっとも衝突する」関係ではあるでしょう。それは「主張するべきことは主張し、後へは退かない性格」という点では一致しているからです。
由乃さんは長いこと「地の性格」を出すことが(病気のため)出来ませんでした。ですから、反動もあって現在は「いつもイケイケ青信号」なわけで、ともすると「暴走してしまう」わけです(といっても令ちゃん絡みに限るかも)。

では、瞳子ちゃんはどうでしょう。
瞳子ちゃんも、何度か「爆発」(暴走と言うよりは爆発という感じ)しています。例えば・・・
乃梨子ちゃんの前で「そんなこと絶対にあるわけございませんことよ!」(チェ83)
祐巳の前で「最低、見損ないました、祐巳さま」(パラ59)
薔薇の館で「そんなこと……聞いてません」の後、薔薇の館を飛び出す(パラ129)
演劇部で「だったらあなたがやれば」(特別87)
などです。

「チェリー〜」の「そんなこと絶対にあるわけございませんことよ!」は、明らかに演技でしょう。言い回しが「シナリオのある台詞っぽい」ですよね。乃梨子ちゃんのライバル的役柄を「ちょっと、演じてみた」というところでしょう。
「パラソル〜」の「最低、見損ないました」という台詞は、祐巳に対していらついているようにとれる台詞ですが、純粋にそうとは言い切れません。なぜなら、瞳子ちゃんは祥子さまの事情を知っていて、しかも「祐巳は(妹なのに)知らされていない」ことも知っているわけです。「なぜ、秘密にしなければならないのか」という点でも「100%納得しているわけではない」と思います。もしかしたら「むしろ祥子さまに対していらついていた」可能性もあると思います。ただ、弱ってる祥子さまに爆発するわけにはいきません。それに、瞳子ちゃんもこの段階ではまだ多少余裕があって爆発はおさえています。本当に爆発してしまったら、思わず「真相をぶちまけてしまう」のではないでしょうか。つまり、ここではまだ「演技の仮面は外していない」と思われます。
「そんなこと……聞いてません」の瞳子ちゃんは、もう余裕はなくなっています。直前までは(令さまとの会話で)演技の仮面を付けています。それが外れそうになったので、思わず外へ飛び出したのかもしれません。
「特別〜」の「だったらあなたがやれば」は、描写が少ないのでよくわかりませんが、直後に稽古場を飛び出してしまっているので、本当の爆発でしょう。

さて、仮面の内側にある瞳子ちゃんの素の性格はどんなものなのでしょう。
私の想像では・・・
世話好きで友達思い、他人(友達)に積極的にかかわろうとする。
人間観察が趣味(笑)。
勢いで突き進むのではなく、慎重に計画を立てて行動するタイプ。
という感じです。

「チェリー〜」での乃梨子ちゃんへの積極的な干渉は「世話好き」だからだと思います。
可南子ちゃんと天敵になってしまったのも「積極的にかかわろうとする瞳子ちゃん」と「他人とかかわるのを嫌う可南子ちゃん」という相性の悪さから来るのではないでしょうか。
「人間観察が趣味」というのは、ほとんど通りすがりに近い弓子さんに対しても「この人はどんな人だろう」という感じで細かく観察していることから分ります。
乃梨子ちゃんや可南子ちゃんにかかわったのも瞳子ちゃんの目に「興味深い人物」として写ったからではないでしょうか。
もしかしたら、「私は女優」の瞳子ちゃんにとって「すべての出会いは演技の勉強」なのかもしれません。
「慎重に計画を立てて行動するタイプ」というのは、私の妄想が入っていますが、「チェリー〜」で自ら台本を用意したりとかなり計画的なところが見られるからです。そのかわり、予想外の事態への対応は、少々苦手のようです。特に祐巳の行動は、しばしば瞳子ちゃんの予想を超えるようで、そういう意味では祐巳を苦手としています。
祐巳の予想外の行動は、瞳子ちゃんの演技の仮面を簡単に外してしまう・・・瞳子ちゃんにとって祐巳は驚きの連続で「とても興味深い対象」でもあるのです。

というわけで、祐巳の妹は瞳子ちゃんに決まり!
って、これは言い過ぎ(笑)・・・今回のテーマは「瞳子ちゃんの演技の仮面と素の性格」についてでした。
2004/12/19 12:38:32〔投稿者:円〕
瞳子のことを書くときのワトソンさまの文はとても生き生きとしていますね(笑)
「慎重に計画を立てて行動するタイプ」、「予想外の事態への対応は、少々苦手」
というのは、体育祭の玉転がしのときの様子からも言えると思います。どこへ転がるか分からない玉に対して必要以上に慎重になってしまう瞳子の姿はまさにそうです。
2004/12/19 12:52:01〔投稿者:管理人〕
そうですそうです(笑)。
更新する前、「書くつもりでいたのに何か書き忘れていることがある」と思っていたのですが、どうにも思い出せなかったのです。
そう「体育祭の玉転がし」です。あのエピソードは「瞳子ちゃんは本当はこういう子なんだよ」という作者のメッセージではないかと考えています。
2004/12/19 22:28:40〔投稿者:くりくりまろん〕
瞳子と由乃は、おおもとのところは判断力や物事を冷静に見ることに長けていて、ただ例外的に失調することがある、というイメージですねー。演技する前にはまず落ち着いて周りと自分が良く見えていなければいけないわけで。縦ロールの髪型は普段から相当気を使わなければならないのではと想像するのですけれども、手入れは「女優」としての心構えを自ら育てるのに役立っているのに違いありません。
…瞳子の調子がおかしくなるのは特に祐巳をきっかけにしているときに限られるのでしょうか。意味深ですね。
2004/12/19 23:42:31〔投稿者:いわし〕
携帯電話からコメント。玉転がしはやはり“地の性格”説が主流っぽいですかね。“赤組の足を引っ張る為わざと遅延”は少々美しくないですし(“賭けの事など色々気になって集中できなかった”ならともかく)。由乃さんとの共通点、「実はそんなにかぶってない」と最近まで考えておりましたが、(素で)可愛くおねだり出来るような性格を含め、祐巳視点フィルターをとっぱらうとホントに良く似ている気もします。いや、それは表面的な事だけ…?自分でも良く分からなくなってきました。…携帯からだと字数の感覚がつかみづらいですね。長文失礼しました(?)
2004/12/20 00:11:57〔投稿者:アルス〕
『特一』を読む限り、この子の内面はとても弱い子(祐巳ちゃんが手術前の由乃さんに感じていた女の子像!?)だと感じました。だから、「普段は演技をする事で自分を隠しているのでは!?」と今では感じております。『チェリブロ』で祥子さまと祐巳ちゃんの仲を邪魔した様子も実は演技の可能性もあり、「この二人は一体どこまで仲が良いのだろう!!」を確かめていたかもしれません。(作者が瞳子ちゃんの視点を書かない限り妄想でしかありませんが、私は瞳子ちゃんが好きだからこういう風に勝手に思っております)
また、体育祭の玉転がしの件は、これまた人によって解釈が違うのですね!? で、私は「彼女は八百長したのを演技で隠した」と密かに思っていますが、乃梨子ちゃんの時といい、この子は人の為に「自ら悪役になろう!!」ってところがあったりしますから、誰かがそばに付いててあげて欲しいと思っていたりします(ここでやっぱり情が入ってしまいます) ある漫画で、「悪い事をする人は皆寂しいかもしれないね」というフレーズがあるのですが、この子が正にその通りかもしれませんね!!
2004/12/20 01:35:38〔投稿者:管理人〕
「八百長疑惑?」に関しては私は否定的です。もちろん「瞳子ちゃんはそんなことしない!」と思っているからなのですが、もうひとつの理由として「玉転がしで八百長するなら派手に蹴ったほうが効果的」だからです。コースアウトしてしまうほど(笑)。
それから、由乃さんとの比較を補足しますと・・・
例えば「特別〜」で瞳子ちゃんのトラブルの時、由乃さんは「放っておいたらいいんじゃないですか」と言い放っています。そして、言葉通り放っておくタイプです。(聖さまの時はずいぶん積極的に行動しましたが、あれは「須加星の正体」に興味津々だったからでしょう)
もし、瞳子ちゃんと立場が逆だったらどうでしょう。瞳子ちゃんも同じようなことを言うかもしれません。ですが、放っておくのではなく直接本人に「見損ないましたわ!」ぐらい言いそうです。
なんだか、由乃さんが悪者になってしまいそう(笑)。それほどに、由乃さんが「令ちゃん」以外に興味を持つという状況が想像できないのですが。
あぁ、ひとりいましたね。由乃さんにとって(令さま以外に)特別な存在が。もちろんそれは祐巳です。
2004/12/23 10:31:09〔投稿者:バルミラ〕
 瞳子の性格、と言うか行動原理には、優の影響を強く感じます。常に人の為を考えて行動しているが、その思いを相手にわからせて利益を得ようとせず、あくまで自分の楽しみの為にやっているように見せかける。そのような従兄の姿を見て育てば、「自分もかく在らねば」と考えても不思議ではありません。
 ただ、優がそれを(天然なのか意識的なのかはわかりませんが)ごく自然に行っているのに対し、瞳子の場合はどこか無理をしているようです。そこら辺の、言ってしまえば背伸びをしている感じが、祐麒をして「可愛い」と言わせしめたのではないでしょうか。
2004/12/27 20:24:55〔投稿者:冬紫晴〕
 柏木優の影響は強いでしょうね。何となくですが…柏木氏も心を許しているのは、祐麒・祐巳が彼の前に現れるまでは瞳子ちゃんだけで、瞳子にしても柏木氏だけ、という気もするのです。瞳子ちゃんの「略してOK〜」Pp.52での、柏木氏とのやりとりのところは、力の抜けた感じがするのですね。互いに。
 「ジョアナ」を受けてのことですが、これまでに感じていた嫌な予感が強くなってきました。「源氏物語」の「薫」について・可南子ちゃんの事情を知っていたかどうか・「哀れな人形(ジョアナ)」とは何か…を考えていくと…行き当たるものがあるのです。柏木が(祥子に対する気遣いと同様に)清子おばさまに妙に優しいのも気になるのです。となれば、「人間観察」や「演技」、「慎重な行動」の根が一つになりえます。詳しくは私の方のブログで。
2011/08/01 20:48:11〔投稿者:Star〕
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