コラムあるいは雑文

罪深きは祐巳と由乃さん    - 05/01/21 -

ずいぶん久しぶりのコラムです。
前回から1ヶ月も空いてしまいました。
さて、リリアンと言えばスール制度。祐巳と由乃さんは「妹問題」に頭を悩ませているわけですが・・・
そもそもなぜこんなに大変なのか。スール制度というのは本来もっとお気楽なものだと思うのです。
リリアン高等部に入学する一年生の内、スール制度に憧れて入ってきた生徒たちは、早い時期(せいぜい五月)に姉ができているでしょう。
いわゆる「早い者勝ち」です。多くは部活や委員会等で知り合ったとか、そのお知り合い(つまり紹介されて)とか、割と気楽にスールになっているでしょう。桂さんや、「チョコレートコート」のふたりのように。
で、その時期に決まらなかった生徒たちの場合は、いわゆる「待ち」の状態になります。スール制度は義務ではないので別に焦る必要はありません。縁があってから考えればいいのです。
ですが、ひとつ大きな問題があります。「つぼみの妹」です。
「つぼみの妹」が決まる前と決まった後では事情がかなり変化します。
おそらく「つぼみの妹」が決まると、後を追うように多くの姉妹が成立するでしょう。山百合会幹部のゴールデンカップル(笑)に刺激されて、というのもありますが、「つぼみの妹候補かも」ということに気兼ね無くアタックできるということもあると思うのです。
つぼみというのは大変です。事実上妹を持つことが義務になっていて、しかもその妹に大きな義務と責任(先のことですが)をおわせなければなりません。
学園内で「つぼみの妹候補」というのは、瞳子ちゃんや可南子ちゃんだけではないと思います。成績優秀者や何らかの理由で目立っている子、由緒正しいお嬢様などなど、「もしかしたら」という程度には噂されている妹候補が何人もいるのではないでしょうか。そして、そういう生徒たちに声をかけようかと迷っている二年生もいるでしょう。でも、「祐巳と由乃さんの妹が決まってから」と自重しているのでは。
つまり、祐巳と由乃さんに「さっさと妹を決めてもらわないと困る」ということなのです。
(聖さまの時は、結局、年度が替わるまで妹ができなかったわけですが、聖さまには疑いようの無い本命候補がいたので、遠慮する必要が無かったのではと思います)

さて、タイトルの「罪深きは〜」ですが、それは瞳子ちゃんが演劇部を飛び出すことになった事件のことです。「ジョアナ」を読んでいて気になったことがあります。先輩と後輩のケンカというのは、本来、リリアンでは起きにくいだろうと。つまり、後輩の指導は上級生の役目ですが、この場合「瞳子ちゃんに姉がいない」ことが問題なのです。
演劇部内にもスールはたくさんいるでしょう。その場合、多少態度の悪い一年生がいても「姉を差し置いて」横から口を出すのはどうかと思います。どうしてもという場合は、その姉の方に意見するのがスジではないかと。
つまり、あんな大げんかになってしまったのは「つぼみの妹がまだ決まっていない」ことも間接的な原因になっているということになるのです(笑)。
瞳子ちゃんが祐巳の妹にならなかったとしても、祐巳と由乃さんの妹が決まってしまえば、つぼみの妹候補ではなくなります。演劇部内で瞳子ちゃんを狙っている上級生もいるかと思います。
いま(文庫「イン ライブラリー」の時点)、リリアンではそういった宙ぶらりんの生徒たちが大勢いると思うのです。宙ぶらりんとは不安定ということで、不安定な状態はトラブルのもとでもあります。
いつまでも祐巳と由乃さんが妹を作らないでいることは、リリアンの平和を乱すことでもあるのです(笑)。

それを「祐巳と由乃さんの罪」というのは言い過ぎだと思いますが、少なくとも祐巳はそういうことを自覚していないと思うので、「さっさと妹決めてもらわないと、困る人が大勢いるのよ」と言ってあげたい気分です。
2005/01/21 22:31:01〔投稿者:アルス〕
 初めてのトップバッターなので緊張します。
祐巳ちゃんは人間関係を自らで築いていくタイプ(世間ではそれを八方美人と言いますが)で、由乃さんは病弱時は猫を被っていた為人柄は良い印象を持てていましたが、自らは群れに入っていけないタイプだと思います。 (山百合会では志摩子さんとの方が付き合いが長いにも関わらず、二人しかいない時代はそんなに話をしたりはしなかったと思います。今では祐巳ちゃんが加わった為、三人仲良くしていますが・・・ 個人的にはこの代が一番好きです)
 私は、学生時代は一学期は馴染めずにいる事が多かったのですが(グループに入っていきにくいタイプ)、二学期以降は大体馴染んでいる事が多かったです。 (登校拒否までには至らなかったのは「部活活動=吹奏楽部」で精を出していたからです。 私が瞳子ちゃんに入れ込んでしまった最大の理由は「部活動を頑張る姿」を自分に反映してしまったからなのです。 だから、今となっては「たとえ祐巳ちゃんの妹になれなくとも、瞳子ちゃんが山百合会に気軽に出入り出来る場所にしてくれればいいなぁ〜」とさえ思っています)
 で、関係の無い話を持ち出してしまいましたが、祐巳ちゃんはどうやら私と似た匂いがしますので、(でも、私の場合は相手が私を嫌いにならない限り嫌いになりにくい反面、どうやら「目には目を・・・」って所もありますので、そこが祐巳ちゃんとの徹底的な差だったりします。)
 要するに、祐巳ちゃんは一人一人に愛情を降り注がないと気が済まないタイプで、一方の由乃さんは向こうから人間関係を取ってきてくれる人で無い限り、「妹」を作る事は出来ないと私は思っていますが(これまた私の勝手な思い込みですが)、いかがでしょうか? 
2005/01/22 17:32:47〔投稿者:いわし〕
久しぶりのコラムですね、話題は妹問題の「思わぬ余波」についてですか。本文中で関係ありそうな部分を考えてみましたが、一番に思い付いたのは無印の「紅薔薇のつぼみが藤堂志摩子の次に目を付けた程の美少女が、まだ手付かずのまま残っていたとは」(うろ覚え)という件。やっぱり、それこそ江利子さまみたいにプレッシャーかけに行ったりとかしない限り、基本的には早い者勝ちなのかなとか思ってみたり。
2005/01/22 20:21:06〔投稿者:朱夏〕
考えれば考えるほど「スール」とは不思議なシステムで、功罪半ばする制度と思えます。特に規則として、「スールを持たないこともOK」を容認すると、ある意味「教育の機会均等」に反することにもなりかねないわけで、生徒や父兄に不公平感を与えかねません。
例えば、何かトラブルが起きたとき、「あなたは、何時まで経ってもスールがいないから、そうなのよ。」なんて、「負け犬論的」な差別的発言がなされていないとは、決して言えないでしょう。
ですから蔦子や静の様に、「スールを持たない」主義の子は、そうとう動機がしっかりしてないと大変だなと思うのです。
この点みんな必死なはずで、例えブウトンのお墨付きでも、「早い者勝ち」がおおかたのコンセンサスとして成り立っているのではと、私は考えています。
ただ、やはり祥子や蓉子、そして志摩子のような新入生は、かなり自信のある人でないと姉として立候補しにくいとは思います。
この点、桂さんや笙子ちゃんのように、おとなしくてちょっと可愛くて、しかも性格的にやや不安定さを感じる子は、先輩として手を付けやすそうです。きっと、本人が思う以上に、上級生の人気があったと考えられます。だから桂さんなんて、ホントは焦る必要なんて全く無かったと思うのです。
私がいちばん心配なのは、瞳子ですね、やっぱり…。
瞳子は、とかく角の立つ発言の多い子です。だから通常、敬遠されがちな新入生と言えるでしょう。
しかしだからこそ、こういう子には姉の存在が必要と思えます。そして祐巳は、「パラソル」の巻の、ミルクホール口論事件の後でも、「特別でない」の巻の、演劇部退部発言事件の時も、冷静にかつおおっぴらに、瞳子の危機を救おうとしています。紅薔薇の蕾が仲裁に入ったとあっては、誰であろうと、おいそれと無視できなかったでしょう。
しかも祐巳は瞳子に、「よく寝てよく食べてストレスはため込まない。愚痴を言いたく  なったら 私の所に来る。」などとまで言い残しています。
これで「瞳子ちゃんは、妹として考えてなかった。」などと言われては、瞳子の立場は無いですよね。(笑)
瞳子の「私は(哀れな)ジョアナじゃない、早くエイミーに戻らないと」という感慨は、かなり深刻です。
しかし瞳子ちゃん、いい加減その「ばっかじゃないの!」は止めないと…。(;^_^A
2005/01/22 23:25:37〔投稿者:くりくりまろん〕
瞳子ちゃんに「姉」がいたとしたらまずその「姉」を通していただろう、というようにスール制度は公的な面と私的な気持ちの上でのつながりがうまく混ざり合っているところが面白いですね。
突拍子もなくて恐縮なんですが、薔薇様という言葉の響きから連想するのは(特に西欧の絶対王政の頃の)王族です。王は自らが理想的な家族を作り上げなければならず、国民はそれを範とするという考え方があったとのことです。山百合会の実際のしごとに差し障りが出るというだけでなくて、安定したスールの関係を築いて生徒の皆にそれとなく示すことが薔薇様(とその妹)には暗黙のうちに要請されているようです。それが、リリアンの中でのスール制度の安定にもつながっていくのだと。すると、ベスト・スール賞に選ばれた令と由乃というのは少なくとも表面上は理想的な薔薇ファミリーでもあったわけですね。
縦のスールの関係は特に3代続くと家族に喩えやすいものですが、三薔薇(のファミリー)が支え合うことで山百合会自体が一つの家族のような暖かい場所として機能することになっていると思います。瞳子ちゃんがどうなるかは分かりませんけれども、落ち着ける『居場所』が早く見つかると良いですね。
2005/01/23 17:44:35〔投稿者:管理人〕
たくさんのコメントありがとうございます。
「割と気楽に」などと書いておいてなんですが(汗汗)、スールの申し込みというのは「きっかけを失うとなかなか思い切れない」ものでもあるでしょう。
そのきっかけのひとつが「つぼみの妹」だと思うのです。黄薔薇革命であんな風に影響を受けてしまうリリアンの生徒たちですし。
で、「ふたりのつぼみの妹が未定」という状況は、そういう生徒たちにとっては「とっても気になる」ことでもあり、自分のスールどころではないかもしれません。
二学期も後半という時期としては、例年に比べてスールの成立がかなり遅れているのではないかと想像しています。
祐巳と由乃さんが「高嶺の花」タイプではないので、「もしかしたら自分にもチャンスが」と密かに期待している生徒も多いかも(笑)。
祐巳と由乃さんのどちらが先かは解りませんが、一組決まれば一般生徒の多くが影響されて「スールブーム」のようになるかもしれません。由乃さんに候補がいないという状況で、もし、祐巳が先に決まった場合、フリーの一年生が一気に減ってしまうかも(笑)。
2005/01/23 19:29:38〔投稿者:円〕
先輩と後輩のケンカというと「ロザリオの滴」の祥子様と乃梨子の言い合いが思い浮かびます。「ジョアナ」のケンカとは全く違う性質のものですが、これもやはり姉がいないことが原因となっています。「不特定多数の上級生に注意されたくなかったら、さっさとお姉さまを見つけることね」という祥子様の台詞はそのまま瞳子に当てはまると思います。