コラムあるいは雑文

痛くもかゆくもない    - 05/02/13 -

今回は、このコーナーを始めた当初から書こうと思っていたけれど、ついつい先送りしていたネタ「柏木氏について」です。

柏木氏に関するおもなエピソードは・・・
「無印」銀杏王子
「長き夜の」小笠原邸合宿
「パラソルをさして」ネズミの御者
「子羊たちの休暇」この場をぶっ壊してやろうか
「真夏の一ページ」柏木邸にて
「涼風さつさつ」土下座
といったところでしょうか。

私のイメージする“柏木優”像は、祥子さまの証言をベースとした小説で表現されている通りのイメージです。つまり「悪い人ではないが自分本位でそれを自覚していない、他人の気持ちが理解できないし考えようともしない」です。女性観は前時代的で、はっきり言って身近にいたらお友達にはなりたくありません。
これだけだと悪い面ばかりになってしまうので、他のエピソードからわかることを付け加えると「優秀で、誠実で、優しくて・・・」まあ、ほかにもあるでしょうが文字通り「悪い人ではない」のです。

「無印」銀杏王子
柏木氏は、祥子さまは自分と婚約することが祥子さまにとって最良の選択だと思っています(自分にとっても悪くない選択だと思っているでしょう)。そして、最良である以上それを遂行するべきと考え、その点に関して他人(祥子さまも含みます)の意見は考慮すらしません。

「長き夜の」小笠原邸合宿
柏木氏は女性に優しい、しかも男性同性愛者ということもあって、ありがちな裏(下心)がありません。ある意味(過剰なほど)さわやかな優しさでもあります。
祥子さまの嫌いな寿司ネタを取り替えてしまうのも、ごく自然にでる行動なのでしょうが、逆に言えば「祥子さまの偏食をなんとか直せないか」というような発想はまったくない訳です。

「パラソルをさして」ネズミの御者
173ページに重要なキーワードがあります。
蓉子さまと柏木氏と祐巳の間の会話で、柏木氏の「山百合会の幹部は男にやさしくない」に、蓉子さまが「それは相手があなただから」と返し、祐巳が「柏木さんに嫌われても、痛くもかゆくもないからだと思います」といいます。
柏木氏の周りには「柏木氏に嫌われることは、痛みが伴う」という立場の人間ばかりなのです。おそらく物心ついた頃はすでに「将来、小笠原グループの中心に立つ人物」と目されていて、周りの人物たち(その家族も)は「将来の上司に嫌われることは絶対にさけなければならない」という立場のひとばかりなのでしょう。
柏木氏にとっては当たり前のことなのですが、それは柏木氏の罪ではないし、根が誠実なので「そういう偏った環境にも関わらず、ひずみがでないですんでいる」のでしょう。

「子羊たちの休暇」この場をぶっ壊してやろうか
このエピソードで、柏木氏は祐巳に「金持ちのコンプレックス」について解説していますが、それだけわかっているなら「自分の周りの人たちの気持ちももっと考えたら」といいたい(笑)!
「この場をぶっ壊してやろうか」という台詞は確かにかっこ良くも聞こえますが、柏木氏にとってその場に居合わせた人たちは「嫌われても痛くもかゆくもない」人たちだから言えることでもあります。仮に柏木氏がもう少し弱い立場であったとしても同じことが言えたなら、文句なくかっこいい台詞なんですけどね。

「真夏の一ページ」柏木邸にて
このエピソードでは、やっぱり柏木氏は祥子さまの気持ちをぜんぜんわかっていないことがわかります。男嫌いのことを聞いて「小笠原家どうしよう」なんですから。

「涼風さつさつ」土下座
このエピソードで、柏木氏を見直したという読者もけっこうおられるでしょう。
柏木氏は常に(現在も将来も)人の上に立つ立場の人間なので、後輩(部下)の不始末でも自分に責任があるという法則が身に付いています。ですので、まず自分が誠意を持って謝罪しなければならないと考え、祐巳に土下座するわけです。
この土下座ですが、上位から下位への謝り方でもあります(逆の立場で土下座なんかしても効果ありません)。しかもこの場合、慌てふためくのは(祐巳ではなく)推理小説同好会の後輩たちです。この「大先輩に土下座までさせてしまった」という事実は一生ついて回ることでしょう。そして、将来、何かのときには柏木氏のために無条件で(喜んで)働いてくれることでしょう。
これが計算ずくの行動なら、鼻持ちならないことこの上ないのですが、柏木氏の場合、純粋に誠実な性格からの行動なので、ある意味、さわやかでもあります。

というわけで、私の柏木氏に対する評価は「上に立つエリートとしては(女性観を除いて)理想的」ではあるが、お友達になるのは遠慮したいという感じです。古くさい女性観だけでも改めてくれれば、かなり見直すんですけどね(祥子さまとの婚約解消が大前提ですが)。
では、柏木氏はずっとこのままで変わらないのでしょうか。
変わる可能性はあるでしょう。もちろん、変えるのは祐巳です。

(柏木ファンのかた、ごめんなさい。反論もあるでしょうがどうかお手柔らかに。汗)
2005/02/13 15:16:20〔投稿者:はちかづき〕
根拠のある話ではないのですが、柏木氏の「女性観」が古臭いのは、彼が王子様的に振る舞うために、「エスコートされる女性」が必要だからではないでしょうか?基本的に、柏木氏の個性は彼の欠点ときわめて強く結びついています。初登場時に悪役だったせいかもしれません。
ですから、柏木氏が作品の中で救われるとしたら、それは「変わる」時と言うよりも「自分の欠点に自覚的になった」時だと思いますね。また、そんなことがあるとすれば、きっかけはたしかに福沢姉弟でしょう。柏木氏にとっても彼らは特別な存在なようですし。「真夏の〜」で物陰に潜んでベストな出どころをうかがっている柏木氏を想像すると爆笑できます。
ところで、「友達になりたくないキャラ」No.1の柏木氏ですが、ホントに友達いないんじゃないでしょうかね?同年代の男子が出てこないのは仕方ないとしても、卒業したはずの高校に顔出し過ぎだと思います。立場の近い蓉子さまや、同類の聖さまも、本来友達の多いタイプではありませんし。あれで意外と孤独な奴なのかもしれないと思ったりもします。
2005/02/13 23:00:11〔投稿者:アルス〕
瞳子ちゃんと柏木さんとの関連性をどなたか教えて頂きたいのですが(私自身、古典に弱いので・・・)、源氏物語の光源氏や柏木だの、薫etcいまいち
2005/02/13 23:01:47〔投稿者:アルス〕
わかりにくいので、どうかお願いします。(自分で調べるべきなのでしょうけど)
2005/02/14 19:31:26〔投稿者:バルミラ〕
 これまた見事なまでに解釈が正反対ですね。個々の問題について論ずるのも楽しそうですが、その前に解釈が異なる理由の方から掘り下げてみましょう。
 私は柏木優という人間を考える際には、祐巳の意見を信用しない事にしています。
 祐巳は本来、偏見の少ない人間で、相手の実体が自分の先入観と違ってもあっさり受け入れます——無印の志摩子や「黄薔薇革命」の由乃——。
 しかし、そんな祐巳でも祥子が絡むと話が変わります。過度に祥子を評価する——「パラソルをさして」以前——一方で、自分と祥子の関係を阻む存在に対しては敵意を抱きます。
 困った事に、祐巳は祥子と出会うまでは、何かを強く求めた事がなかったので、そういった感情と理性の折り合いのつけ方が上手くありません。それでも道義的にしっかりしている祐巳なので、なるべくその感情を抑えます——蓉子の場合など——。しかし、そこで相手に何らかの咎があると、その感情を抑えるものがなくなって、噴き出してしまいます。
 優に関してですが、そもそも「祥子の婚約者」という存在自体が、祐巳にとってはありがたくありません。逆に言えば、優が祥子の婚約者として相応しくない方がありがたいのです。そういう状況で、優が祥子を泣かせて、祐巳の願望に正当性を与えてしまったのです。さらにそこで祥子から、優に対する非難を切々と聞かされれば、祐巳の優に対する印象は固定されてしまうでしょう——当然、そこで聞かされたのが祥子の側からの言い分に過ぎない事は、意識から落ちています——。
 「マリみて」の大半はそういった祐巳の視点で書かれています。三人称なのでわかりにくいですが、そこには祐巳の偏見や願望が混じっているのです。しかし普段の祐巳は、むしろ客観的にものが見れる人間なので、その事が目立たず、それ故にたまに入る偏った意見も事実として受け取られてしまうのでしょう。
 もちろん、祐巳の意見が100%正しいと言えないからといって、100%間違っているとも言えません。それでも、こと、柏木優に関しては、祐巳の意見の上に理屈を積むのは危険だと思います。だから、私は優に関しては、彼の置かれた(生まれや容姿や能力などによって決められる)立場から考える事にしています。(とりあえずここまで)
2005/02/15 23:07:25〔投稿者:朱夏〕
>アルス様:柏木優、小笠原祥子、松平瞳子の続柄を整理します。
1)「祥子さまの父親の姉の息子が、柏木優」(無印・221p)
2)「祥子お姉さまの、お父さまのお姉さまの旦那さまの妹の娘が私(瞳子)」(チェリブロ・145p)
特に2)の、瞳子ちゃんの説明がひどく分かりにくい。これを聞いて一瞬で、祥子さまと瞳子ちゃんが赤の他人と見破った由乃さんは、確かにすごい!(チェリブロ・145〜146p)
よく見ると、なるほど祥子と優、そして優と瞳子は、それぞれ従姉妹同士ですが、祥子と瞳子はかなり遠い親戚になります。
レディGO(179p)で瞳子ちゃんは、祥子の父、融(とおる)を見つけて「小父さま」と呼びかけているけど、当然、「伯父さま」でも「叔父さま」でもない訳です。
ちなみに、言葉で書くとややこしくなりますが、小笠原家の融に嫁いで来たのが清子でその子が祥子。小笠原家から柏木家に嫁いでいったのが融の姉で、その子が優。柏木家から松平家に嫁いでいったのが優の父の妹で、その子が瞳子と言うことになります。
う〜ん、ますますややこしくなったかな? 上記の1)と2)を元にして、系図に書いてみると一目瞭然です。
ところで、パラソルの巻で亡くなった祥子のおばあさまは、清子の実母だったのでしょうか? それとも、融の実母だったのでしょうか? 何となく文脈の感じからすれば、清子の実母っぽいのですが、そこがどうも未だにはっきりしません。ちなみに清子の旧姓は、「菊なんたら清子」(インライブ・p200)。
「マリみて」の登場人物は多くが女性なので、結婚すればたいてい他家に嫁いで姓が変わっています。なので、非常にややこしく感じます。
2005/02/16 00:37:32〔投稿者:アルス〕
>朱夏さまへ 表面上の家系図は私も何とか理解出来てはいるのですが、何せ小笠原家の男性たちが外で何をしているのかがまだ謎だらけですからね(笑) 実は柏木さんの母親も実は浮気しているのでは!?とも私なりに勝手に想像ごっこ(笑)しては楽しんでいます。 柏木さんは柏木さんで「ナルシスト」な所を直していけば女性にはモテるタイプ(笑)ですから、将来はきっと幸せになれると思います。
2005/02/16 04:00:01〔投稿者:冬紫晴〕
ごきげんよう。
一つ言えるのは、「マリみて」が特殊な一人称視点により、隠されている部分は読み手に誤解させたままにしておくことが可能な文体を採用しているということでしょう。一人称視点の主人公に選ばれていない人物が何をどう感じたか、何を考えているかをすっかり隠し、虫食い状態にするのが楽なのです。それを最大限に利用したのが「レイニー」「パラさし」でありましょう。「ジョアナ」が発表されて、瞳子ちゃんの温度の低さに驚いたという方も多かったですよね。「無印」においても、実際にどのようなやりとりがあったのか、どのような状況だったのか、ほぼすっかり抜けてしまっています。
特に柏木氏は、何を考えているのか、実際にはどういう人物なのか、まるでわからないというのが実情です。彼の状況についての記述は、作中であっても、そのほぼすべてが憶測に基づいているものです。
彼が祥子との婚約に関してどう思っているのか。彼が男性同性愛者であるのは本当のことなのか。それすらも断定不可能です。(着ぐるみパンダはなぜ、祐麒ではなく祐巳を選んだのか)
彼の自己申告もまた、瞳子ちゃん同様に嘘をつくのが非常にうまい、さらに相手の誤解を利用してその通りに装い、正体を隠す方法にも長けていると感じられるため、信用ならないのです。
その点から、バルミラ様同様の視点を採用しています。
例えば、こう解釈できるのです。
>おそらく物心ついた頃はすでに「将来、小笠原グループの中心に立つ人物」と目されていて、
そのために、小笠原父子の目の届かないところで、幼い頃に完膚無きまでに叩き潰してダメ息子にしておけば、小笠原グループの実権を奪い取ることが容易になります。社長(祥子)を奪うことも可能です。彼を何らかの手段によって支配下においてもいい。まあ、彼の能力からすれば、ほぼすべて返り討ちにあっていましょうが…
可能性として、彼は(瞳子ちゃんも)幼い頃、「子羊〜」における祐巳と同じ立場にあったと考えることも可能だということです。周囲には敵しかいない。おそらく、同様の立場にあった瞳子ちゃんあたりをのぞいて。
>アルスさま
>何せ小笠原家の男性たちが外で何をしているのかがまだ謎だらけですからね(笑)
このことから、小笠原祥子−柏木優−松平瞳子の血縁図において、彼らのうち誰かが異母きょうだいであるという仮説も浮かんできます。もし瞳子ちゃんが…以下略「してOK〜
2005/02/16 09:26:24〔投稿者:朱夏〕
祥子・優・瞳子の関係は、その親世代で見てみると、小笠原家の姉弟と、柏木家の兄妹の関係でもあります。そうした関係をさらに勘ぐってみれば、瞳子が実は、融と柏木妹との子供だったなんてありそうです。だとすれば瞳子の「祥子お姉さまぁ」の意味も大きく変わってきますね。しかし、そこまで想像して考えて良いものか…。(>o<)ドロドロだあっ!
2005/02/16 09:29:21〔投稿者:朱夏〕
>「子羊たちの休暇」この場をぶっ壊してやろうか
私は、普段は冷静な柏木が、この時に何故こうもいらついたのか、ずっと不思議に思っていました。この点、冬紫晴さんのご意見、
>彼は(瞳子ちゃんも)幼い頃、「子羊〜」における祐巳と同じ立場にあった
は、説得力があります。
小笠原家を巡る思惑は、かなり複雑なものと思えます。この点、「ほぼすべて返り討ち」(冬紫晴さん談)にしてきた柏木と、「いつも何かに怒っている。見えない何かと戦っている(Answer,p130)」祥子とは、言ってみれば共通の敵に向かう戦友みたいなものです。少なくとも、柏木の祥子に対する認識は、そうだと思います。
一般的に「家」をめぐる問題は、個々人の恋愛感情とは全く別の所にあります。この視点から考えると、柏木は、やはり祥子を守ろうとしている様に見えます。(それが柏木の野望の結果であったとしても。)その事が彼に、「真夏の一ページ」で「小笠原家どうしよう」と言わせたとも考えられます。
ですから祥子に、「悪いけど、男しか恋愛の対象にならない」(無印・230p)とうち明けた柏木は、考えようによっては誠実だったのかも知れません。女心からすれば、全く無神経ではありますけどね。
「マリみて」ファンの大ブーイングを覚悟で言わせていただければ、私は、柏木氏と祥子との結婚は、ある意味、論理的だと考えています。そして祥子も、どこかでその事を十分に理解しているのではないかと考えています。でも、それを言えば間違いなく、祐巳はグレるでしょうね。(笑)
2005/02/16 10:08:08〔投稿者:朱夏〕
(以下、妄想)
 祥子「祐巳っ! どういうこと? あなたのポケットの中のタバコとライターは。 ちゃんとこの私に、説明なさいっ!」
 祐巳「お姉さまっ! お姉さまが、『優さんと結婚しても良い』なんて言い始めたときの、心の準備ですっ!」
2005/02/16 10:48:01〔投稿者:冬紫晴〕
ごきげんよう。
柏木氏の捉え方ですが、小笠原父子の祥子の評価「自分本位で、本人にその自覚はない。他人の気持ちを理解できない、しようともしない、ただ、悪い人ではない」というのは、彼には妥当でないと考えています。(むしろ、山百合会に入る以前の祥子には当てはまるかもしれませんが…描写はありません。これは憶測です)
「相手の気持ちを察するが、基本的に誠実に対応せず、リスクとメリットで反応を考える、用意周到な悪党」だろうと。彼は「悪い人」だと。「ジョアナ」に現れた、瞳子ちゃんの姿勢に近いのではないかと考えます。
それ故に、誰も信用していなかったかもしれません(その点は祥子や瞳子ちゃんにも言えるでしょう)。福沢祐麒が彼の前に現れるまでは。彼の、福沢姉弟に対する思い入れは、切実であり、深いものなのではと感じるのです。だからちょっといじっては、祥子を任せたいという本気とも冗談ともつかないことを軽く口走るのかと(「略して〜」)。祥子が祐巳にぞっこんなのをみれば、「自分では駄目で、祐巳なら」という(「無印」参照)というのは思い知らされてしまっており、また彼自身、祐麒にも祐巳にも惚れ込んでいる様子がうかがえることから、彼らに任せたい(甘えたい)というのは、彼の本音にも感じられます。
>朱夏さま
はじめまして。
>柏木氏と祥子との結婚は、ある意味、論理的だと考えています。そして祥子も、どこかでその事を十分に理解しているのではないかと考えています。でも、それを言えば間違いなく、祐巳はグレるでしょう
確かに論理的ではあり、合理性という意味では理解できましょう。しかしそれ故に感情、感覚としてはとうてい納得できますまい。そしてそれは、祥子にとっても、柏木にとっても同じなのかもしれません。清子小母さまを見てきていますからね、二人とも。
彼らもまた、踏みとどまっているように見えていてそうではなく、育ちのよいやり方で歪んでいるのではないかしら。柏木には、それは性格の悪さ(言葉の裏の毒)として現れ、祥子には黙って怒りをため込むように現れた。「Answer」での祥子の受け答えが、自分のことを話しているはずなのに、完全な他人事として話すのも興味深いところです。感情がありません。(感情が出てこないのが基本だったとすれば、「お姉様方の意地悪!」まで行き着くのがどれだけ大変な道のりだったろうか)そういえば、感情が出ない(演じられている)という意味では、瞳子ちゃん(祐巳の前を除く)や、柏木(福沢姉弟の前を除く)にも共通していますでしょうか。
彼はホストのような(上っ面の)艶っぽさがありながら、男臭さが感じられない気がします。祐麒ですら、ある程度の「男らしさ」を持っているのに、です。(それでも祥子が恐怖感を覚えないのが、彼の特殊な性質といえる。臭いがしても気にならない、気にさせないという)臭いがしないことが男性同性愛者を指すとは限りません…対女性恐怖症によっても起こりうるのです。それを克服する一つの手段として。
瞳子ちゃん、もしかしてそれで、可南子ちゃんの状況を…(「レディ、GO!」)うおぉ 止まらないんですよ、これは。作中にもその種がうようよと…
2005/02/16 10:50:55〔投稿者:冬紫晴〕
あ。柏木氏は「誰も信じていなかった」わけではないですね。何人かいるでしょう。清子小母さま。瞳子ちゃん。さっちゃん。そこに福沢姉弟の登場と。
2005/02/16 10:56:39〔投稿者:冬紫晴〕
追伸…例外に「さっちゃん」を入れましたが…果たしてそうなのか…
2005/02/16 11:00:00〔投稿者:バルミラ〕
 祥子、優、瞳子のうち二人、または全員が異母きょうだいというのは、真相としても物語としても面白いと思います。ただ「マリみて」の世界はそういうドロドロした要素を除外した上で成り立っているようなので、実際にはないでしょう。融やお祖父さんの女性関係も、本当に(聖から得られる情報ほど)乱れているかどうか。お祖父さんは奥さんをずいぶん前になくしている(「パラソルをさして」p170)という事実は一つの反証になるかもしれません。
 テーマ的な問題から、ありえそうなのは祥子の異母姉妹の登場でしょうか。ただ、それをやるのなら、可南子こそがそうであるべきでした。実際、「紅薔薇のつぼみの不在」まではそれらしい雰囲気がありましたし。
 諸々考えると、「隠し子」「不義の子」というネタはやらないのではないかと思います。
 あと、祥子と瞳子が遠縁の親戚——従兄の従妹——という関係以上に親密なのは、双方の母親同士がリリアン在学時代にスールだったからではないかと思っています。あまり根拠はありませんが。
2005/02/16 13:17:32〔投稿者:はちかづき〕
柏木氏には3つの顔があるって事じゃないでしょうかね。
①山百合会→片思い。大好きなのになぜか嫌われている。
②小笠原 →禄でもない所と知りつつ、しかしそこが彼の住処であり、またその次代を任されている。
③花寺  →絶対的支配者として君臨。
大雑把に分けてこんな感じに。基本キャラクターは王子で。
2005/02/16 17:41:24〔投稿者:はちかづき〕
連荘になりますが失礼。
上記のような視点に立つと、柏木氏がまさに王子であることがわかりますね。
これが本物の王子であれば、
①プライヴェート 友人や女性関係、好意自体は本物だが傲慢な男として。
②宮廷 ドロドロの人間関係・権力争い。同族嫌悪、だが彼もまたその一員。
③領地 王子個人の裁量に任されるもの。私領・騎士団・探検隊・遠隔地貿易。統治者としては優秀。
といった感じに対応します。
また彼は少女漫画における理想化された男性像のウラとしての解釈も可能だと思います。少女漫画における理想的男性像においてわりあいポピュラーな二つ(もちろんもっといろいろな男性キャラクターが存在しますが)、まずいくら想っても気づいてくれない「鈍感」なタイプ、そして勝手な事を言ってヒロインをかっさらう「強引」なタイプ、こういったキャラクターはともに「ヒロインの気持ちを考えないし、考えようともしない」と意地悪く表現する事も可能です。無印の柏木氏は少女漫画における王子の典型の悪いところを拡大したキャラクターであると言えると思います。
ちなみに「鈍感」「強引」はそのまんま聖さまにも当てはまります。聖さまは王子様だったようです。やっぱり柏木氏とは似たもの同士なのかもしれません。
2005/02/16 20:30:28〔投稿者:アルス〕
よく女の子は「父親似」、男の子は「母親似」と言いますから、可南子ちゃんについてもいろいろ想像してみてはいるのですが・・・(だんだん、『マリみて』とは離れていっていますが、これも想像する楽しさの一つとして私なりの『マリみて』の楽しみ方です。
2005/02/17 05:42:47〔投稿者:朱夏〕
>ありえそうなのは祥子の異母姉妹の登場でしょうか。ただ、それをやるのなら、可南子こそがそうであるべきでした。
パルミラ様:いままで考えたこともありませんでしたが、大変面白い発想かと思います。
もし本当にそういう設定がなされていたら、瞳子と可南子の「天敵同士」は、かなり深刻なものとなります。そして祐巳の妹選びは、果てしない迷宮に入ってゆくことになりそうです。
ただ、パルミラ様もおっしゃっているように、「マリみて」は、小笠原家のドロドロを描くことを主目的にはしていません(たぶん)。
むしろ、リリアンにおける佐藤聖の様な人物の光源氏的状況を描いたりする事の方が、より目的に叶っていると考えています。…と言うか、それが私の個人的希望だったりします。(笑)
2005/02/18 03:14:53〔投稿者:管理人〕
たくさんのコメントありがとうございます。
続きは「続:〜」のほうでよろしくお願いします。