コラムあるいは雑文

薔薇さまになりたい    - 05/05/18 -

とっても久しぶりのコラムです。なんと二か月以上空いてしまいました。
その間、暖めていて焦げ付いてしまったネタがいくつかあるのですが(笑)、さてどれにしようかな。

ここはやはり瞳子ちゃんの話題にしてみましょう。
「妹オーディション」の61ページに「いつか薔薇さまになりたい、って中等部の頃からいってらしたもの」とあります。
瞳子ちゃんがどんな風に言っていたかは想像できますが、これが本心かどうかとなると疑問です。言葉通りに受け取ってしまうのはまずそうです。
嘘つきですもんね。
演技してますもんね。
例えば「銀杏の中の桜」での「そんなこと絶対にあるわけございませんことよ!」は、演技であることは確実です。これは「薔薇さまになりたいと公言していた以上、少しはそれらしいところも見せておかなければ」と考えていたのではないかとも受け取れます。

では、「いつか薔薇さまになりたい」が本心でないと仮定した場合、なぜそのようなことを言うのでしょう。
私の想像は、これは瞳子ちゃん自身が「自らに課した課題(試練?)」ではないかということです。
単純に「演技の練習」と考えることも可能ですが、むしろ瞳子ちゃんの中の「欠けているもの」を瞳子ちゃん自身が(もしかしたら無意識のうちに)感じ取り、それを補うために必要な行動をとろうとする。とらざるをえないよう自身を追い込むためには「公言する必要がある」というわけです。
実際のところ瞳子ちゃんには薔薇さまという立場そのものには「興味もあこがれもない」ご様子。あくまで、生徒たちの憧れの的である薔薇樣方に積極的に関わろうとすること自体に意味があると考えるべきでしょう。
だからむしろ、失敗に終わる予定の計画だったのかもしれません。

ですが、ここで大きな誤算が生じてしまいます。
「薔薇さまになりたがっている」ということを行動で示すには、つぼみたちにアクションする必要があるわけですが、実は本気で祐巳を好きになってしまったのです。
「祐巳さまの妹になりたい」・・・口にこそしていませんが、気持ちはどんどん大きくなっていることでしょう。
祐巳が一般生徒であれば問題ありませんが、紅薔薇のつぼみです。
本気でなければ、演技(妹の座を狙っていると見せかける)もできるでしょうが、今の瞳子ちゃんはそれができません。それに、うまい具合にことが運んだとしても「つぼみの妹を狙っていた」と思われたまま妹になるなんてことは、とても耐えられないでしょう。

瞳子ちゃんに「いいかげん、素直になれば?」というのは簡単ですが、それができないのは瞳子ちゃんのせいばかりとは言い切れない状況です。
さあ、祐巳、出番ですよ。他人事じゃないよ! 自分のことだよ! 蔦子さんと笙子ちゃんのキューピッド役をしている場合ではないよ(笑)!
2005/05/19 05:45:13〔投稿者:円〕
瞳子の本心を知るための鍵の一つは、瞳子の祥子さまに対する気持ちではないでしょうか。
BGNの「無邪気で積極的」な瞳子は、高等部に入ったら祥子さまと同じ部活に入りたかったと言っていますが、それが本心であるとすると、薔薇さまになりたい理由は祥子さまと同じことがしたいからであるように見えます。
瞳子の祥子さまに対する態度はチェリブロと妹オーディションでは別人かと思うほど違い、前者には多分に演技が含まれているはずですからこのときの言動を鵜呑みにはできませんが、それでも祥子さまの存在が瞳子に影響を与えているように思います。
2005/05/20 02:28:50〔投稿者:いわし〕
久しぶりのコラムですね嬉しい。いつもワトソンさまの発想と着眼点には感心させられます。…自分は瞳子ちゃんは漠然とですが「薔薇さまになりたい」と本当に考えていたと思います。祥子さまに憧れ、いつかああなりたいと思っていたのではないか、と。入学当初は山百合会幹部メンバーの妹に自分を仮定してみた事もあるのでは…なんて色々妄想してみたり
最近の文庫で見せる性格が瞳子の“地”というワケではないと思うのですよね。演技の方向性が変わっただけで。
2005/05/20 21:40:52〔投稿者:管理人〕
>円さま
>瞳子の祥子さまに対する気持ち
漠然と憧れていたようではありますが、おそらく、柏木氏への気持ちと同じようなものと想像します。
とにかくいろんな人に関心を持つようで、乃梨子ちゃん可南子ちゃん、そして祐巳。結果的には祥子さまに特別肩入れしているようには見えませんよね。
そうそう、「祥子さま狙い」と思われたまま祐巳の妹になるのも耐え難いものがあるでしょう。
>いわしさま
あまり持ち上げられると、舞い上がってしまいますので、ほどほどに(笑)。
>祥子さまに憧れ、いつかああなりたいと思っていた
瞳子ちゃんの性格では「憧れはしても、それを自分には当てはめない」ような気がします。むしろ、程よい距離感を保ちつつ人間観察をする。祐巳のように自分の領域まで踏み込まれるのは本来苦手(というかなれていない)だとおもいます。
祥子さまと同じ部活に入りたかったとか言ってましたが、かりに祥子さまが演劇部以外の部活に入っていたとしても瞳子ちゃんが演劇部をあきらめるとはちょっと思えません。
何にせよ、言ってることのほとんどが「嘘かもしれない」キャラですから、難しいです。そのぶん想像は楽しいですが。
2005/05/21 10:06:54〔投稿者:アルス〕
久しぶりのコメントですが、瞳子ちゃんは「祐巳さまの妹になりたい」という希望以上に「リリアン女学園」の「山百合会」の「薔薇の館」を変えていきたいという願いの方が強かったのではないかと私は思います。 瞳子ちゃんは「演劇部」を続けたいのに、「薔薇さま」になってしまったら「演劇部」を辞めなければいけないのは不条理ですからね。 (簡単に述べれば可南子ちゃん共々蓉子さまの「薔薇の館の一般開放化」の夢を叶える為の「当て馬」キャラという訳です。)
2005/05/26 02:14:36〔投稿者:管理人〕
>アルスさま
コメントありがとうございます。
「イン ライブラリー」の瞳子ちゃんは祥子さまが行方不明なのにあまり積極的には動きませんし、「妹オーディション」では、教室に訪ねてきた祥子さまが乃梨子ちゃんと話している横を通り過ぎたりと、祥子さまに対してまったく他人事のように振る舞っています。
これは「祥子さま目当てで祐巳に近づいたのではない」ということをアピールするためかもしれませんし、本当に無関心なだけかもしれませんが、山百合会や薔薇の館に対して何か思惑があるなら、もっと行動を起こしそうなもの。
というのが、私の印象です。