コラムあるいは雑文

試合を見に行きましょう    - 05/05/21 -

剣道の試合会場で、前三薔薇さま方が一方的に(由乃さんの)妹オーディションを開催しているとき・・・
その会場には可南子ちゃんと瞳子ちゃんも来ていました。どうやら一緒に来た雰囲気。

さて、このふたり。どうしてこの試合会場に来ることになったんでしょうね。
ふたりとも剣道との接点も無いし、令さまと特に親しいわけでもない。薔薇ファミリーの誰かに見に来てほしいと言われたなら、待ち合わせの時に合流しても良さそうなもの。
よりによってこのふたりが「ふたりだけで来る」というのが、状況としてかなり特殊です。つまり、何か特別な理由が無ければ起こりえない状況だと思います。「ただ、なんとなく」というのはありえない。
そもそもこのふたり、どちらが誘ったのでしょう。

私の想像では、可南子ちゃんが瞳子ちゃんを誘ったのだと思います。
そして、剣道の観戦というのは口実に過ぎず、可南子ちゃんが瞳子ちゃんに話したいことがあったので、無理を言って付き合ってもらった。
ちょっと前(といっても十日以上前ですが)に、可南子ちゃんは祐巳に心の内をすべて話しています。本来ならこれで十分なのでしょうが、可南子ちゃんとしては「自分が祐巳さまの妹になることはない」ということをはっきり伝えておきたい人物がもうひとりいたわけです。
もちろんそれは瞳子ちゃんです。
試合会場でのことか、それとも帰り道に歩きながらのことか想像することしかできませんが、きっと、可南子ちゃんは、そのこと(祐巳の妹にならないこと)を瞳子ちゃんに伝えたのではないでしょうか。「祐巳さまにはすでに伝えてある」「瞳子が少なくとも自分に遠慮する必要はない」というようなことも含めて。
もしかしたら、お礼も言ったかもしれません。なんだかんだといろいろありましたが、可南子ちゃんは瞳子ちゃんに感謝していると思うのです。

う〜ん、勝手な想像をしてしまいましたが、体育祭の棒引きのときと同じふたりとはとても思えません(笑)。
私の想像は見当外れかもしれませんが、あの会場に現れたふたりに何かサイドストーリーが隠されているのは確かだと思うのです。
2005/05/21 10:19:41〔投稿者:アルス〕
私の想像では、瞳子ちゃんは「レディ、GO!」の「フォークダンス」あたりで、可南子ちゃんに興味を持ち始めたと読んでいます。 「可南子さん」と名前(しかも敬称付)で彼女を呼んでいますし、二人は親友の仲になっていてもおかしくは無いと思います。 (「バラエティギフト」では椿組三人娘として、ある程度仲良しになっていますからね。でなければ、「まー、感じ悪い。二人して、何よ」の瞳子ちゃんのセリフは普通吐かないと思いますから・・・)
2005/05/22 20:26:46〔投稿者:くりくりまろん〕
可南子ちゃんと瞳子ちゃんは、一番基本的な部分は共通しているのだと思います。「マリア様の星」を心に抱くことができる可南子ちゃんは、強い愛着や憎悪を持つような熱いところがあります。そしておそらく瞳子ちゃんもその点は同じなのですが、自分の感情に対する向き合い方は全く違うのです。
いやな気がたちこめていると言って祐巳に注意し、犬猿の仲だったというのは瞳子ちゃんの可南子ちゃんのあり方に対してとても鋭敏だったことを示しているように思われます。
祐巳が懐かしさを込めて述べる「ゴツゴツして触れると痛いような」可南子ちゃんはごく一部の人しか知り得なかった姿であって、大方のクラスメイトには乃梨子ちゃんが言っていたような単なる取っ付きづらさとして映っていたと思われます。可南子ちゃんに対して風の噂の域をあまり出ていないことしか知らないにもかかわらず、大嫌いという形で瞳子ちゃんのみが接触を持っていたのいうのが目立ちます。何をきっかけに仲が悪くなったのかは語られていませんが、祐巳のような事件と言えるものではなくてごく些細な日常の一コマであったかも知れません。
強い愛着や憎悪を持ちやすいのは自分も同じだ、けれどもそれに「閉じこもって」無反省でいるのはとてもいけないことなのだ、地肌をさらしたような感情の持ち方の危険性は自分が一番良く知っているという批判が込められていたと思います。…そこまで瞳子ちゃんが意識的であるかは別ですが。
そうすると述べられているように、可南子ちゃんへの関心を絶やさずしばらく一緒に活動までした瞳子ちゃんに対して感謝の気持ちも出てくるかも知れません。今度は可南子ちゃんから瞳子ちゃんに対する理解が示されつつある状態なのですね。
2005/05/26 02:34:16〔投稿者:管理人〕
ゴツゴツしていたころの可南子ちゃんは、瞳子ちゃんとの相性は最悪でした。
瞳子ちゃんは、クラスで孤立する傾向にあった乃梨子ちゃんや可南子ちゃんに積極的に関わろうとしていたでしょう。乃梨子ちゃんはある意味おとなの対応をしていましたが、可南子ちゃんは静電気の火花が散るような反応だったと思います。
かといって「気になる祐巳にちょっかい出していた」ことから無視して放っておくということもできません。
ですが、可南子ちゃんは変わりました。
可南子ちゃんは、本当の祐巳や夕子さんが見えるようになったのと同様、「瞳子ちゃんが本当はどんな子か」ということも見えるようになったのだろうと思います。
2005/05/26 10:39:35〔投稿者:朱夏〕
「妹オーディション」の中でも、最も気になった場面ですね。基本的に、ワトソン様のおっしゃるような事があったと想像できます。
ただそれでも、ひとつの疑問が残ります。
それは… 二人が話す場所が、何故、剣道の試合会場だったのでしょう?
やはり落ち着いて話すなら、リリアン校内の方が良かったのでは?
もちろんこれには、可南子ちゃんの都合があったと思えます。平日の放課後はずっとクラブ活動でふさがっていたので、単に、土曜日のイベントを利用したのかもしれません。そして話題が話題だけに可南子ちゃんは、瞳子ちゃんの立場を気遣って、リリアンの外で話すことにしたとも考えられます。
でもそれだと、この二人がそろってイベント会場に現れるのは、かえって如何にも目立ちます。そもそも、可南子ちゃんと瞳子ちゃんは、現在の所、共に薔薇の館から身を引いた立ち位置にいます。剣道の試合は、確かに新旧の薔薇様達が勢揃いするとは言え、その事にこの二人が興味を示すとは思えません。要するに今の二人には、この剣道の試合との接点が無いのです。
では、可南子ちゃんが瞳子ちゃんにアドバイスするのに、この日この場所でなければならなかった理由があるとしたら何?
二人のどちらかに、祥子様と何か約束があった?
それとも、前薔薇様の存在でしょうか?
あるいはもっと、何かビックリイベントがあったとか…?
いずれも、その可能性は薄そうですね。
あと、可南子ちゃんが、どうやって瞳子ちゃんを誘い出したのかが気になります。この時、既に二人は仲良しになっていました…みたいな、単純な事では絶対ないでしょう。
ただ瞳子ちゃんは、可南子ちゃんのことを「彼女。変わりました。」(「インライブラリー」p53)とは言っているけど、実は一番変わってきているのは瞳子ちゃん本人だと思う。「チェリブロ」の瞳子ちゃんと、「特別でない」の瞳子ちゃんとでは、まるで別人です。
今後、二人のリリアンでの「立ち位置」がどうなってゆくのか、この場面からいろいろと推測できます。そう言う意味でこのシーンは、次巻への前振りとも読みとれます。
でも今野先生は時々、「ご想像にお任せします」ってやりますから…。「パラソル」の巻、「青い傘の旅」の様に。しかし大事な場面だけに、次巻での謎解きを是非お願いしたいですね。
それから余談ですが、巻頭の人物紹介の挿し絵。そろそろ可南子ちゃんの絵だけでも、今の可南子ちゃんの表情に差し替えて欲しいです。
まあ、これが入れ替わることは、かなり大きな動きがあったことを読者に教えるようなもので、祐巳の妹問題が片づくまではこのままでしょうけど…。
2005/05/27 15:08:56〔投稿者:くりくりまろん〕
瞳子ちゃんと言えば「演劇」という深く関わっている大切な対象があるわけで、もし祐巳の「妹」になって薔薇の館に入った場合その役目と演劇部の活動とのかねあいが問題となります。実際、「特別でないただの一日」では演劇部の方を優先すべきだということを理由に山百合会の劇の方を引くように一旦は言われていますね。今となっては演劇という自分を生かせるところをすでに見つけているわけですから、薔薇の館自体には瞳子ちゃんは強い思い入れはないと思われます。実際に両立が可能かということもあるのですがむしろ大切なのは心構えの方かもしれません。
『妹オーディション』では写真部に入った笙子ちゃんの話のように、どのようにふさわしい姉妹を見つけるかということを包含するような、どのように自分と合った「対象」を見つけ、関わりを深めてゆくのかといったことが主題になっていました。それは相手が人であろうと活動であろうと本質的には通低するものがあると思います。笙子ちゃんにしても、蔦子さんを追いかけていったという面だけではなく深く興味を持てるかも知れない事柄をみつけたという意味合いがありました。
瞳子ちゃんがとても「お芝居が好き」であることを見抜いたのは祐巳でしたが、もう一人そのことを良く知る機会があったのは可南子ちゃんです。可南子ちゃんは自分のことで精一杯でしたが一つの納得を得て祐巳の妹にはならないこともはっきりさせた今、距離を置いて瞳子ちゃんや薔薇の館の人たちのことが良く見えている立場にあると言えます。
その点、薔薇様である令さまが薔薇の館とは全く離れた世界を持っていてそこで活躍している姿を見るというのは瞳子ちゃんにとってとても意味があることではないでしょうか。別に薔薇の館に関心は無くなっていてもそれはほとんど問題ではないと。可南子ちゃんは何しろ体育会系で剣道にも少しは関心と理解がありそうですし、バスケットボールを再び始めています。瞳子ちゃんも令さまが剣道という世界を持っていることは知識としてはあります。しかし、由乃さんが令さまに言われたように、間近で見ることには大きな意味があったのです。
以上のようなことを可南子ちゃんがどのくらい意識して直截に言ったのか言わなかったのか、あるいは他の人の示唆があったのかは分かりません。しかし可南子ちゃんが瞳子ちゃんを誘ったのだとすれば、そんなメッセージが込められていたと思うのです。
屋上屋を重ねる推論で大外しの可能性もあります(汗)。
>今の可南子ちゃんの表情
あー確かに見てみたいですね。祐巳には「笑っているよう」な気がした祥子さまもそうなのですが、落ち着いた母性的なものを身につけ始めているような。