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コラムあるいは雑文

この作品はフィクションです。実在の・・・    - 06/02/05 -

「※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません。」

「未来の白地図」のあとがきの直後にある文章です。
この決まり文句自体は良く目にするものです(バリエーションはいろいろあるでしょうが)。
でも、「マリア様がみてる」の読者の中には「なにか問題が起きたのだろうか?」と気にされた方もいたようです。
たしかにいままで無かったのですから、何か理由(きっかけ?)があって追加されたのでしょう。
マリみての中では「JRのK駅」といった表現を使用することで、なるべく特定地域の明言を避けています。
ですが、夏の避暑地などは固有名詞を出さなくてもおおよそ推測できてしまいますし、「富士山」や「箱根」「イタリアの観光地」のようにはっきり書いてしまっているものもあります。観光地の地域名はまず問題にならないでしょうが、遊園地のような施設名となるとやはり固有名詞は避けたほうが良いのでしょう。
「マリみて」での最大の問題は、リリアンがあるのは「東京の武蔵野」と明言してしまっていることと、無印のあとがきで「リリアンの風景は出身校に似ている(←正確な引用ではありません)」というような意味の記述をしてしまったことでしょう。
これさえ無ければ、銀杏並木や桜の木がある学校なんておそらく全国に存在し、多くの読者が「うちの学校にそっくり」と思ったのではないでしょうか。
この件に関しては、「リリアンのモデル校というのが実在するなら見てみたい」というファン心理はわからないでもありませんが、あまり深く追求するのはやめたほうがいいでしょうね。
それに、作者が「薔薇のミルフィーユ」のあとがきで「遊園地もホテルも幼稚園も実在しません」と念を押されていることからも、「モデル探し」をありがたいとは思っていないことが類推されます。
そんなところへ、続刊である「未来の白地図」に冒頭の文言が追加されたものですから、「なにかあった?」と思ってしまうのはしかたがないかもしれません。もしかしたら「なにかあった」のかもしれませんが、私は具体的な話を聞いたことはありません。

結論を言ってしまえば、最近のコバルト文庫には同じ文言が(やはり、あとがきの直後)かならず載っています。2005年10月10日の日付になっている文庫から一斉についたようです(書店で確かめました)。
実は今野緒雪さんの作品としては、ちょうど「夢の宮 〜遥けき恋文〜」からなのです。「夢の宮シリーズ」はファンタジーです(誤解しているひとも多いようですが歴史物ではありません)。フィクションなのは当たり前ですし、実在の人物・団体・事件と関係しているはずもありません。
この事実にもかかわらず「未来の白地図」で初めて気付いた読者が多かったということは「マリみてファンの多くは、たとえ同じ作者の作品であっても別のシリーズは読まないんだなぁ・・・と、ちょっとがっかりした」というのが、今回のコラムでいちばん書きたかったことです(笑)。
2006/02/05 12:37:42〔投稿者:朱夏〕
「未来の白地図」で追加された後書きですが、ワトソン様のご指摘通り、「マリみて」とは直接関係ないと考えます。
今野先生の主旨と言うよりむしろ、編集部の方針(=集英社の方針)かと思います。
と言うのも、最近何かと話題になっている「個人情報保護法」により、メディアが「守り」に入っている証ではないでしょうか。
このことで思うのは、1994年に「消費者保護法」が制定されたときのことです。
あれ以来、店頭で販売される小は駄菓子から大は車まで、そのパッケージや取扱い説明書に、おびただしい「注意書き」が書かれるようになりました。(黄色い三角に「!」マークの注意書きです。)
あれは、強化された消費者保護法によって、ユーザーとの法廷闘争が増加することを考慮して、企業が考えた予防手段のひとつです。
ただ、それはそれとして・・・。
確かに今野先生は、二回にわたって「断り書き」をなさっています。
(1)「そんな訳ですから、「祐巳が一年生の時は○年だ」なんて計算するのは無意味です。
2006/02/05 12:47:06〔投稿者:韓子温〕
ごきげんよう
ということは、「この物語は〜」が付いたのは特にまりみてで問題が起きたからってわけじゃないんですか…。
「夢の宮」は読んでいないので、気付きませんでした。「スリピッシュ」と「サカナの天」には手を伸ばしたのですが…。言い訳がましい事をいうと、「夢の宮」は本屋さんに行ってもほとんど置いて無いんですよね。
2006/02/05 12:51:09〔投稿者:朱夏〕
すみません、途中で切れました。重ねての投稿、お許し下さい。
(1)「そんな訳ですから、「祐巳が一年生の時は○年だ」なんて計算するのは無意味です。」(「チャオソレッラ」あとがきp204) 
(2)「そうそう。彼女たちが行った場所がどこだか推理して、自分も行ってみようと思ったよい子の皆さん。時間と交通費の無駄ですのでやめましょうね。」(「薔薇のミルフィーユ」あとがき」p198)
つまり前者では時間的なことを、後者では場所的なことを、二回に分けて「お断り」なさっていることになります。
こうした但し書きは、何かそう書かざるを得ない事件や苦情があったのだろうかと、様々な憶測を生むことは確かです。
しかし、その前後に書かれた内容を詳しく読むと、この「お断り」の根拠は共通しています。それはあくまで今野先生の、創作ポリシー上の問題であるという点。
ただそうであったとしても、愛読者としては、少々きついご意見かなとも思えます。
何故なら、主人公達と同じ経験を共有したいと考えるのは、やはりごく自然なファン心理と考えるからです。
またファンタジーの楽しみ方として、その世界を独自に考察し掘り下げるのも、ある意味コアなファンの正しいあり方かと、私は考えるからです。
・・・実は私が作りかけて止まっている「マリみてHP」も、この件でかなり引っかかっているんですが。(-_-;)
ちなみに「丘の家のミッキー」の原作者、久美沙織先生は、「おかみき」がベストセラーだった当時から、物語のモデル女子校を堂々と公表なさっていました。
やはり当時と比べ、世相が物騒になってきたって事なんでしょうか。
特に近年は、登下校児童が巻き込まれる事件が多発しています。学校当局や父兄が、神経質になるのも仕方ないことかと。
実に、残念なことです。
2006/02/06 20:33:56〔投稿者:管理人〕
>朱夏さま
>編集部の方針
私もそう思います。
>作りかけて止まっている「マリみてHP」
ぜひぜひ、がんばって実現してください。応援してます。
>韓子温さま
>「夢の宮」は本屋さんに行ってもほとんど置いて無い
そうなんですよ。
シリーズ19巻のうち、出版元の集英社に在庫があるのは最初の二巻(2003年に増刷)と新しいほうの四巻だけなのです(私が入手できているのもその6巻だけです)。絶版になってるわけでもなく、文庫には広告も掲載されているのに、残りの13巻は増刷されていません。
だから、購入に踏み切れないマリみてファンの気持ちもわかります(私もそうでした)。
ただ、「夢の宮」は設定こそ共通ですが、時代や登場人物は各巻ごとにバラバラで、それぞれ独立したお話です(もちろん、上下巻になっているものは一組として)。
一部に共通の登場人物もあるらしいですが(薔薇シリーズ?)、基本的にはどこから読んでも楽しめる作りになっています。手に入るものだけでも、取り寄せなり通販なりで入手されることをおすすめします。
2006/02/10 22:55:52〔投稿者:いわし〕
自分がフィクション〜を初めて見たのはマリみて以外の作品だった事もあって
マリみてファンが暴走したから……何て考えに直結はしませんでしたが
今でもマリみてが原因だった可能性も考えられるなぁ、とは思っています
だからって、何か自分に変化があるかと言うと何も無いですけどね(^^;
「スリピッシュ」と「サカナの天」はまだですが「夢の宮」は最近集めだしました。
…というかワトソンさまの影響なのですが(笑) 感謝してます
2006/02/13 01:19:30〔投稿者:管理人〕
「夢の宮」は、なんとか増刷されないものかと希望を持ち続けております。
こうやって何かと話題することによって、多少は(ほんとにわずかかと思いますが)増刷の可能性を上げられるのではないかと(笑)。