「銀杏の中の桜」と「BGN」
このふたつのエピソードは視点となるキャラが違うだけで、同じ時間の同じ出来事を表現しています。ただ、実際に重ねあわせようとすると、かなり注意深く読まないと見落としてしまうような微妙な部分がいくつかありますので、ひとつずつ検証することにします。
その1
当初、次のふたつの出来事を同じ日のことと推測していました。
BGN:入学式の三〜四日後、祐巳が、「心ここにあらず」状態の志摩子さんを見かける。(チェ132)
銀杏の中の桜:入学式の四日後、乃梨子ちゃんが、あの桜の木のところで、志摩子さんに出会う。(チェ25)
「ふらふらと歩いていた志摩子さん」は、あの桜の木のところへ行き、その後、乃梨子ちゃんがやってきます。
祐巳が、薔薇の館の集会(実際には中止になった)に遅刻したわけですが、乃梨子ちゃんによると、志摩子さんは「何かの会議がある」と言っていますので、つじつまが合います。
ですが、『「桜の状態」を考えると、乃梨子ちゃんが志摩子さんに出会うのは、BGNの「八割がた散った」(チェ151)の日ではないか』という指摘を、掲示板で円さまより受けました。
A. 銀杏の中の桜:入学式、あの桜は「五分咲き」(チェ23)、他の桜は「満開」(チェ18)
B. 銀杏の中の桜:入学式の四日後?、あの桜は「今を盛りと」、他の桜は「ずいぶんと枝があらわ」(チェ18)
C. BGN:入学式の三〜四日後、桜は「まだあまり散っていない」(チェ133)
D. BGN:会議中、遅刻してきた志摩子さんの髪に桜の花びら、桜は「八割がた散った」(チェ151)
B.とD.が同じ日とするには「入学式の四日後」という呪縛があったのですが、よく読み直してみると、「サクラチル」の1と2の間(チェ17)で、日が変わっている可能性に気付きました。
日が変わっている証拠も見つからないのですが、変わっていると仮定すると、「入学式の四日後」という呪縛もとけるので、B.とD.が同じ日であるように見えてきます。
特に、乃梨子ちゃんが志摩子さんの髪から取り残した桜の花びらを、会議中に祐巳が見つけるという描写は効いています。
というわけで、マリみてTTではこの解釈を採用することにします。
その2
当初、次のふたつの出来事は「ひとつの出来事」と考えていました。
銀杏の中の桜:休み時間、乃梨子と瞳子が「中庭を歩く薔薇ファミリー」を非常階段から見る。(チェ42)
BGN:昼休み、薔薇ファミリー(祐巳を含む)が中庭を突っ切っていると、非常口の外付け階段から瞳子ちゃんの派手なパフォーマンスを受ける。(チェ160)
ですが、このふたつの出来事を同じ日のこととすると、タイムテーブルがうまく作成できません。
よく読んでみると、BGNでは「昼休み」、銀杏の中の桜では「休み時間」の出来事となっていて、どうやら無関係らしいと思えてきました。
それで、このふたつの出来事は「別の日の出来事」と仮定してみると、それまで困っていたことがすんなり解消されて、タイムテーブルが作成できました。
その3
次の一連の出来事は、同じ日のことになります。
銀杏の中の桜:廊下で、乃梨子が志摩子さんに呼び止められ、明日昼休み会う約束をする。(チェ75)
銀杏の中の桜:家庭科の授業中、瞳子がキレる。(チェ83)
BGN:山百合会の集会へ瞳子ちゃんが乱入、「駒なら、ありますけど」。(チェ177)
銀杏の中の桜:乃梨子が靴を隠される。(チェ84)
BGN:祐巳が瞳子ちゃんが乃梨子ちゃんの靴を隠すのを目撃する。(チェ184)
それにしてもBGNで明かされる「瞳子の演技(被服室でキレるところ)」はすごい。それとも多少、本気だったのだろうか。
更新履歴
2004/11/26 : 文章を修正(内容は変わっていません)
2004/08/07 : 桜の状態に合わせて、その1を修正
2004/08/06 : 作成