コラムあるいは雑文

マリみてはミステリー小説?    - 05/02/04 -

1月のコラムがひとつだけになってしまいましたが、はたして、2月はどうなりますでしょうか(笑)。

マリみてには、物語の中のちょっとした謎を、最後までタネあかししなかったり、曖昧にしか表現していないものがあります。意識的にミスリードする(読者を誤った方向へ導く)ように書かれたエピソードもあります。もっとも典型的なのが「おじいさんと一緒」や「図書館の本」ですね。
中には、真相が解らないままになってしまう読者もいるようです。そこで、マリみての「タネあかし」をまとめてみることにします。
本当のミステリー小説(推理小説)の場合、タネあかしをネットで書くのはルール違反でしょうが、マリみての場合は問題ないでしょう。
(大部分は、あらためて書くほどのタネあかしではありませんが)
(それと、私の妄想も多少含まれています)

いばらの森
須加星作「いばらの森」のカホリのモデルは、リリアンの現在の学園長、シスター・上村こと上村佐織さまです。

紅薔薇さま、人生最良の日
蓉子さまのお供になった8人の下級生たちは、「吉備団子が欲しいわけではない」という趣旨のことを言っていますが、実際にはゲーム参加者が「紅いカード目当て」で近付いたのではないかと思われます。祐巳を追跡したのと同じですね。ですが、それが真相かもと思いつつ、私はそうではないと思うことにしています。そのほうが気持ちがいいので。

パラソルをさして
弓子さんの「古い友人」とは、祥子さまのお祖母さまのこと・・・とは、はっきり断定してはいませんが、ま、そういうことですね。

おじいさんと一緒
真美さんが喫茶店で出会う「小父さま」がタクヤ君で、信号カラーのシャツの若者が甲之進さんです。
「真夏の一ページ」159ページのイラストでは、若い男性が甲之進さんで手前に腕だけ見えているのがタクヤ君ではないかと思われます。
ギニア共和国とマリ共和国の国旗は、どちらも信号カラーですが、ギニアは左から「赤黄緑」で、マリは逆に「緑黄赤」です。

涼風さつさつ
花寺の学園祭で、祐巳にキャンディーをくれたパンダの中に入っていたのは柏木優氏です。
「パンダ探偵事件簿・ペロペロキャンディー殺人事件」は柏木氏の作品ではないかと・・・(たぶん)。

レディ、GO!
体育祭当日の昼休みに、真美さん(体育祭実行委員)が借り物競走のリサーチをしていますが、もしかしたら、その昼休みには融小父さまは既に来ていて、目撃されていたのかもしれません。だから「スーツを着た男性」などというお題が作られたのではないでしょうか。でも、そうだとすると「ちょっと抜け出して来た」という程度ではありませんね。これは私の妄想かもしれません。
ちなみに志摩子さんのお父さんは目撃されていないでしょう。「和服を着た人」は他にもたくさんいたと思われます。
由乃さんの「ジョーカーと思って取っておいた」の真意は解りません。

降誕祭の奇跡(の前半)
このファンタジーをどう解釈するか。最終的には読者にまかされているわけですが、マリみての中でこのエピソードだけ異質に感じてしまう読者も多いと思います。私もそうです。
ひかりさんと今日子さんの体験がシンクロしているのは単なる偶然と解釈してもいいし、今日子さんが過去へ(あるいはひかりさんが未来へ)タイムスリップしたというSF的な解釈も可能でしょう。どちらの場合も奇跡といえます。
私の好きな解釈は、ふたりはそれぞれの夢の中で時を越えて会話していたというものです。

降誕祭の奇跡(の後半)
こちらも、ある意味「時を越えた奇跡」のお話です。
美嘉さんの天使のマスコットは、渥美先生の新車に飾ることをイメージして作ったものです。それがラストで渥美先生のおんぼろ車(何年経ったのかは不明ですが新車だった車のことです)で揺れているのです。

ショコラとポートレート
克美さまの「私のことなんか、見てくれていないと思っていたけど」というのは、江利子さまのことです。

チャオソレッラ
「チャオソレッラ」158ページで、蔦子さんがお土産用に吟味している写真立ては、おそらく笙子ちゃんへのお土産です。(と、私は思っていますが多くの読者もそう思っていると思います。作者がこんなところで読者をミスリードする意味はありませんので当たっているんじゃないかなぁ)
聖さまと加東景さまはイタリアに来ています。インコに変な言葉を教えたのも聖さまです。

桜の中の魔(「桜組伝説」の中の一編)
この話は一回読んだだけではなかなか解らないとおもいます。ファンタジーやSFの部類の小説だという前提で読み始めれば、あるいは気付けたかもしれませんが。
マリみてDB掲示板で、どなたかが書いておられましたが、これはパラレルワールドものです。
白雪さんの世界と白妙さんの世界が、平行に存在していて、それぞれ、白雪さんの世界のリリアンには李組はあるが桜組はなく、白妙さんの世界のリリアンには桜組はあるが李組はなかったのです。
ですが、ふたりの手が触れた瞬間に彼女たちの属するクラスごと入れ替わってしまい、白雪さんのいた(今は白妙さんがいる)世界では二年生だけ桜組に、白妙さんのいた(今は白雪さんがいる)世界では二年生だけ李組になってしまった。
という解釈が妥当だと思います。クラスごと入れ替わったとするよりも、白雪さんと白妙さん(とそれぞれのクラスの名前)だけ入れ替わったとするほうがいいかもしれません。あるいは、そもそもこのパラレルワールドの相違点はクラスの名前と白雪さんと白妙さんだけだった(その相違点が入れ替わった)ということかもしれません。
ですが、あまり細かいツッコミは無しです(笑)。これは、実話ではなく(「マリみて」の世界の中でも実話でないという意味)代々の二年桜組生徒による創作(伝承?)なのですから。

特別でないただの一日
柏木氏がたくさんあるチケットのうち一枚だけ抜き取ったのは、祐巳が祐麒にあげたチケットです。
別に柏木氏が「祐巳のチケットを渡したくない」と思ったわけではありません。ただ、それは他のチケットと違って本人から貰ったものではなく、無理矢理没収(笑)したものですから、勝手に第三者へ譲渡するという行為ははばかられただけです。
本当なら、直接貰ったものでもくれた人の気持ちを考えれば他人にあげたりはできないはずですが、残念ながら柏木氏は他人の気持ちが解らない人なのです(柏木ファンのひと読んでいたらゴメンなさい)。

図書館の本
みきさんは祐巳のお母さんで、さーこさまとは祥子さまのお母さまの清子さまのことです。

だいたいこんなところでしょうか。
きっと見落としがあるんだろうなぁ〜。
2005/02/04 15:15:05〔投稿者:円〕
「桜の中の魔」について、私は「白雪さんと白妙さんの中身以外がクラスごと入れ替わってしまった」と思っています。入れ替わり後、桜組にいる少女が白妙という名前でありながら、白雪さんのいた世界の百代さんのアドバイスを覚えていて、かつ今いる世界の百代さんはそのことを知らないというのが一応の根拠です。論理的に考えても、あまり意味のない話かもしれませんが。
2005/02/04 17:29:44〔投稿者:冬紫晴〕
「特別〜」の追伸。私は柏木氏を「そんなに他人の気持ちがわからないのではなく、そういうふりをしてみせることはある」かわりに「野心が大きく、とぼけてばかり」と考えているので、ちょっと変えて。
小笠原融氏は直前で文化祭に行けなくなってましたよね。それで、余ったチケットを柏木氏に渡したと。そんな風にして、小笠原父、祖父(推測で柏木父、松平父なども)などからのキャンセル分が大量に彼に回ってきていたのかもしれません。つまり、可南子父に渡った祥子さま名義の招待券は、祥子が直接渡したのではなく、父や祖父など、仕事で来られそうもなくても「一応」渡したものであるところの、押しつけられたチケットだったのではないかと。流石に柏木氏はカチンときますよ。さっちゃんは恋愛対象になれなくても、大事な「妹」ですし(彼は実は彼女や清子様にとても気を遣います)。
そうすると、確率的にも祥子さま名義の件が渡りやすいんですけど…言い訳も考えておいてからの行動ではあると思うんですよね。で、言い訳を考えやすい分だけ残した。ほら、「食えない男」ですし。(大幅に希望的観測)
2005/02/04 21:53:19〔投稿者:管理人〕
>円さま
>「白雪さんと白妙さんの中身以外がクラスごと入れ替わってしまった」
なるほど〜、それもありそうですね。
>冬紫晴さま
>「そういうふりをしてみせることはある」
おぉ、冬紫晴さまはそんなふうに観ているのですね。
私は、柏木氏に関しては「悪意はない、誠実ではある、ただ、他人の気持ちが解らない」とみています。ですのて、行動に演技や裏はないと思ってます。
チケットの出所ですが、単純に「ファンがたくさんいる、差し出されれば断らない」ということだと思いますが、冬紫晴さまの深読みも面白いですね。
2005/02/05 01:24:06〔投稿者:いわし〕
確かに謎をあえて残してある話は多いですよね。自分の場合「紅薔薇さま〜」「レディGO」あたりは謎とすら思わずにキャラのセリフ等を信じて読んでいたので意外でしたけれど。柏木氏のチケットは短編作れるくらいの裏設定がありそうな予感。今後明らかになる可能性もあるわけですよね
2005/02/05 18:45:14〔投稿者:管理人〕
>いわしさま
「紅薔薇さま〜」での「キャラのセリフ」はウソではないとは思います。結果的には。ただ、近付いたきっかけはというと・・・う〜ん、違うのかなぁ〜、いつもと違う雰囲気の蓉子さまに惹かれただけなのかなぁ。私もそう思いたいところなんですけどね(笑)。
2005/02/07 02:37:45〔投稿者:アルス〕
柏木さんのチケット問題は、実は瞳子ちゃんのチケット5枚と祥子さまの1枚、祐麒君の1枚花寺生徒5枚の計12枚になりますね。
2005/02/07 08:16:54〔投稿者:バルミラ〕
 現時点で最大のミステリーは、やはり柏木優の本性や真意でしょうか。彼が本当に他人の気持ちを考えない自己中心的な人間なのか、それとも実は深い考えがあってそう言う振りをしているのか。どちらの線から見ても、これまでのストーリーとは辻褄が合うので、答えは出ません。ただ、後者であってほしいとは思っています。前者だと話が上手くまとまらないような気がしますので。
 話は変わって。
 「ファースト デート トライアングル」で「(チーズケーキを)家に持ち帰ったところで、あの両親が食べるかどうか疑問だった」と、志摩子の視点で書かれています。最初に読んだ時は、「そんなに家族関係が冷え切っているのか」と思ったのですが、「銀杏の中の桜」で明かされた真相はあの通り。少なくとも父親との仲は悪くありませんでした。しかし、そうなると前述の文の意味をあらためて考えてみなければならなくなりました。
 で、考えた結果、「志摩子の両親は洋菓子——あるいは甘いもの全般——が嫌い」と言う結論に至りました。
 さて、はたしてこれはミスリードの一環だったのでしょうか。
2005/02/07 18:25:43〔投稿者:r〕
柏木さんは1巻で、祥子さまに人前でキスしようとしています。柏木信奉者(というより、本文に書いている以上に柏木さんを買っている人たち)はその事を忘れていませんか。
2005/02/07 22:59:39〔投稿者:はちかづき〕
 はじめまして。はちかづきと申します。よろしくお願いいたします。
 わたしは柏木氏を天然の自己チューだと思っていますが、柏木氏関係の話が続いているようなので、その立場から少し書いてみたいと思います。
さて、12月のコラム「由乃さんの妹」へのコメントで、バルミラ様が瞳子ちゃんには「正しい事をしていればいいと考える傾向」や「(少なくとも主観的には)悪い事はしていない」と述べていらっしゃいました。これはそのまま柏木氏にも言えることではないでしょうか?
 柏木氏は一種独特のどこかナルシスティックなスタイルを常に貫いていますが、そのスタイルを貫きさえすればそれでよいと考えている節があります。これは『パラさし』で祐巳を車で出迎えた時の行動の場違いっぷりによく表れています。
 また、柏木氏の大きな特徴といえば、人の気持ちの分からないところです。無印での柏木氏は自分中心の視点しか持たない、あらゆる人が自分と同じ考え方をしていると思い込んでいるかのような、まさしく「自分本位」の人間として描かれていました。
 このような柏木氏のスタイルと自分本位は、彼の強い自信が根っことなっていると思います。実際彼はかっこいいはずです。あの祥子様が一時は好きになるくらいです。先代三薔薇さまと同等かそれ以上に高性能な柏木氏ですから、彼がかっこいいと思うように振る舞いさえすれば、大概の問題は乗り越えることが出来たでしょう。
 柏木氏には、「正しい事(柏木氏のスタイル)をしていればいいと考える傾向」と「(少なくとも主観的には)悪い事はしていない」と考えるところがあります。これらの欠点のせいで柏木氏は山百合会の面々に嫌われてしまったわけですが、だからこそ無印での文化祭のようないたたまれない状況でも完璧に役割を果たせたのだし、また首尾一貫して誠実でいられるのだとも思います。
 なお、私はそんなダメ人間柏木優が大好きです。
2005/02/08 03:31:20〔投稿者:管理人〕
rさま、はちかづきさま、ようこそいらっしゃいました。「柏木氏」については、次回のコラムで取り上げようと思います。
>バルミラさま
「あの両親が食べるかどうか疑問」から「家族関係が冷え切っているのか」という印象を受けたとのことですが、私はまったく思い付きませんでした。作者もミスリードの意図はなかったと思います。
「無印」で、志摩子さんは自分の食の好み(ギンナン、ユリネ、大豆)について「嗜好なんて環境もかなり影響していると思わない? あの両親に育てられたから、好みが渋いのよ」と言っています。つまり、志摩子さんちはほとんど和食で、おそらくご両親は「チーズケーキなど食べたことがないだろう」ということだと思います。ですから、「(チーズケーキを)あの両親が食べるかどうか疑問だった」というのは、味の好みの問題ではなく、普段の食習慣からそう思えるということでしょう。
2005/02/08 19:30:31〔投稿者:冬紫晴〕
ごきげんよう。
>パルミラさま
藤堂家には、お茶菓子など和菓子のストックみたいなのがあって、そればかり食べるから、別腹もそれで一杯になってる…
あと、柏木氏の深読み。
無印では、柏木氏あれ以降出番なしで考えていたかもしれないですよね。で、あとから考え直してみると別解釈が可能で…
全く別の見方を提供するなら、婚約解消を切り出して、怒り出したのは柏木氏ではなかったのではないかと考えることもできます。そう簡単にできることじゃないです、家と家の話なので。当事者だけでは話が付かず、双方の父・祖父・母を巻き込む大騒動になるのは必至。いや、小笠原家−柏木家絶縁の危機か。そうなれば、旧家かどうかわからない柏木家は一体どうなることやら…「子羊〜」のPp.191-192や、「この場をぶっ壊してやろうか」が何とも言えませんね。
2005/02/09 23:40:02〔投稿者:管理人〕
>冬紫晴さま
祥子さまが婚約解消を切り出したのは、学園祭前日、リリアンのマリア像の前です。それまでは問題自体から逃げ回っていたので、祥子さまが婚約解消したがっていることを柏木氏は知らなかったと思います。家族の方たちは未だに知らないかもしれません(と、私は思います)。
2005/02/14 17:22:28〔投稿者:バルミラ〕
 ケーキの事に関して少し補足。
 ケーキ一つで深刻に考えてしまったのは、バースデーケーキが念頭にあったからです。誕生日に親と一緒にケーキを食べるというのは、はたから見ると大した事ではありませんが、当事者である子供にとってはかなり重要な事ですから。聖もバースデーケーキには複雑な思いを持っていたようですし。
 さて、さすがの藤堂家でも、娘の誕生日ぐらいはケーキを食べているのでしょうか。
2011/10/29 13:56:57〔投稿者:mami〕
「ジョーカーと思って取っておいた」
は単純に由乃さんにとって無理がきくのが祐巳だけど、あれもこれも無理させる訳にはいかないので
最後の切り札という意味でジョーカーと言ったんだと思います。
2011/11/14 01:10:08〔投稿者:管理人〕
mamiさま、コメントありがとうございます。由乃さんが祐巳を「ジョーカーと思って取っておいた」のなら、性格的に「そのカードを使う気満々だった」と、私は考えています。ですが、最終種目のギリギリでまで温存していたのですから、使わずに終わるところでした。本音は勝負に勝つために「自分と交替させる」つもりだったのではないか、と想像したりもしているのですが、これは私の行き過ぎた妄想でしょう。