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No.1174 【短編「ワンペア」の感想はこちらへ】 投稿者 : 管理人(ワトソン) : 2008/04/12 17:29 返信
遅ればせながら「ワンペア」用のネタバレスレッドをたてておきます。
私は好きな作品ですが、感想書くひとはあまりいないかと思ってスルーしてしまいました(汗)。
 
-1- No.1173 【雑誌Cobalt2〜4月号「ワンペア」】 投稿者 : 朱夏 : 2008/04/12 17:18 削除追加
なんとも奇妙な読後感でした。
どなたもコメントなさらないので、僭越ですが私なりの感想を書いておきます。
管理人様。Cobalt4月号は現在も発売中ですので、もし必要でしたら、メタバレモードにお願いします。

さて「ワンぺア」については、大きく分けて、二つの疑問点があります。
第一に、この話に何故、違和感を覚えるのか?
第二に、今野先生はいったいこの物語で、何を書きたかったのか?

では第一の疑問から考えて行きましょう。
現在の「マリみて」は、作者と読者の間に、いくつかの不問律があります。
その代表的な要点を上げると、以下の様なポイントかと。

 1)「スール」が主題であること
 2)ビルドゥングスロマンとしての主題
 3)悪人の不在
 4)結末に、おおむね何らかの救済がある

ところが「ワンペア」は、上記のほとんどに該当しません。
1)のスール問題はどこにも扱われていませんし、2)の要素もありません。
3)にしても、メノウとコハクの双子は不気味です。4)に至っては、前後編も費やしておきながら、結論らしい結論がありません。ここで読者は既に、かなり面食らったのではないでしょうか。

となると第二の疑問、今野先生は「ワンペア」で、一体何を書きたかったのでしょう?
以前、中公新書「ミッション・スクール」(佐藤八寿子著)という本のことをご紹介したことがあります。この中で著者は、近代女性がリベラルな教養を身につけたことで、新たに「ファムファタルとして描かれる女学生」が文学に登場したことを書いています。
つまり美少女が教師を破滅させるテーマは、女子校ものとして定番とも言えるわけです。

しかし、こうしたネガティブな女生徒のイメージは、従来の「マリみて」では絶対にありえませんでした。ただし「ワンペア」では、破滅に追い込まれた男性(飛田一也)については、地文と会話で説明されるだけで全く登場しません。その代わりに話を進めるのは、従姉の女性教師、多子です。
このことで物語はミステリー仕立てとなり、生徒と教師の恋愛という生々しい記述を避けることに成功しています。さらに人形のように美しいミステリアスな双子の存在は、むしろ耽美な印象を受けます。つまり「ワンペア」という作品は、女子校を舞台としたゴシックミステリーだったと。

これも「マリみて」の世界が確立した上で、人気作家ならではのお遊びと言えましょう。
今野先生はきっと、「ワンペア」のコハクとメノウのように、「マリみて」に収まらないキャラをいくつかお持ちなのでしょう。
穿って考えると、お遊びとは言え、今野先生とCobalt編集部は、半分本気で、ある種の実験を試みたかとも思えます。つまり今後の「マリみて」について、どこまで話を振れるかという可能性のテストだったとも思うのです。表紙に瞳子ちゃんが単独で登場することなども、そうした試みのひとつとも考えられます。

しかしネットなどの反応を見た限り、「ワンペア」はなんとなく、「マリみて」ファンにスルーされてしまったように思えます。
さてこのお話、今後の短編集に収まるんでしょうか?
何だか、今回限りのような気がします。やはり多くの「マリみて」ファンは、あまり過激な変化を望んでいないように思うのです。
私個人としては、こういう展開は「マリみて・アナザーシリーズ」としてなら、嫌いではありません。

長文、失礼致しました。

ありがとうございます。お手数かけました。
追加:2008/04/12 21:18
管理者コメント
ネタバレモード解除しました。
 
 
No.1136 【長沢版マリみて 1年目編終了】 投稿者 : でるもんた・いいじま : 2007/11/04 17:05 返信
ほぼ原作と同じ発行ペースで進捗して、いま発売のザ・マーガレットで1年目編が終了しました。
長沢版について少し評価してみませんか?

#ネタバレ進行のほうがいいでしょうか?>管理人様
 
-1- No.1137 【Re: 長沢版マリみて 1年目編終了】 投稿者 : でるもんた・いいじま : 2007/11/04 17:11
…といっても、2年目シリーズへと話は進まず、これをもって打ち止めとなります。最終ページには「4年間ありがとうございました」とあり、最後の文字も「○○号へつづく」ではなく「おわり」です。

まあ、いつまでも長沢さんをマリみてに縛りつづけておくわけにもいきませんし、ここが引き際だったのでしょう。残念なのは、志摩子の秘密が明かされる「銀杏の中の桜」と、その続きとして今野先生が本当ならすぐにでも書きたかった(であろう)「ロザリオの滴」まで続かないことですが、そうするとどこで打ち切るのか話が進みませんし…。アニメは「パラソルをさして」で一区切りにしましたが、そこまでいくと瞳子の扱いに困ってしまいます。
 
-2- No.1138 【Re: 長沢版マリみて 1年目編終了】 投稿者 : kyouko : 2007/11/04 20:49 削除追加
2年目シリーズの可能性もあると私は思っています。

同じコバルト文庫の「なんて素敵にジャパネスク」シリーズは
最初の4冊のコミック化の後、10年近くたってから続きの
コミック化がはじまりました。

「マリみて」だって、可能性はあると信じてます。
 
-3- No.1140 【Re: 長沢版マリみて 1年目編終了】 投稿者 : 管理人(ワトソン) : 2007/11/04 22:07
ネタバレ進行
その必要はないと思います。
私は漫画版は単行本になっているところまでしか読んでいませんが、ここに来ている人は原作(もしくはアニメ)の内容を知っているものと思いますので。
雑誌連載分のネタバレも、投稿者それぞれの判断で必要なら言葉をにごすなり伏せ字にするなりしてください(笑)。

長沢版について少し評価
私自身は、「楽しく読ませていただいた」という感じです。
ひびきさんとは違う絵でありながら特に違和感もなく、これってけっこう凄いことだと思いますよ。
私は由乃さんが特に好きでした。
(祐巳と祥子さまに関しては「長沢さんも苦労して描いているな」という印象です)

不満があるとすれば、最後まで原作路線だったことです。
私は「単なる原作の焼き直し」というのは好きではないので、オリジナルストーリーのひとつ(ふたつでもみっつでも)は欲しかったです。
リリアンを舞台にオリジナルキャラで漫画版だけの自由なストーリーを読みたかったです。
そのときにこそ、本当の「長沢智の漫画」にふれることが出来たんじゃないかなぁと。
 
-4- No.1166 【Re: 長沢版マリみて 1年目編終了】 投稿者 : でるもんた・いいじま  : 2008/03/21 11:42
単行本で8巻を読了、Amazonにレビューを投稿しました。

http://www.amazon.co.jp/dp/408846253X
5つ星のうち 4.0 原作の濃密さには負けたか, 2008/3/21
この巻の後半「いつしか年も」では、卒業式の進行とともに、卒業する3薔薇さまによる回想シーンがふんだんに出てくる。それを含めて、キャラクターの表情の描写にグッと引き込まれる点は高く評価したい。

しかし、如何せんこの巻は原作の内容が非常に濃密で、それを1冊の漫画に全部詰め込むことは残念ながらできなかった。読者を引き込む感情描写も、裏を返せば「文章のみから場面を想像する楽しみ」が減ってしまうという諸刃の剣だ。

また、この段階では志摩子の謎めいた言動の真相は明らかにされていない。せめてあと2巻、「チェリーブロッサム」「ロザリオの滴」(と、あとはオリジナルストーリーや「ショコラとポートレート」「Answer」あたりでページ数を埋め合わせて)を出してほしかったと思う。なにしろ、ここまでの8巻での志摩子の挙動は丸ごと「チェリーブロッサム」への伏線となっているのだ。(原作『レイニーブルー』のカスタマーレビューでの拙文参照。)

そこで総合評価としては星4つとしたが、最初1冊だけの予定がここまで続けられたことには心からエールを送りたい。
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